数年前から健康診断で高めの血圧を指摘されるようになり、かかりつけの医院で「毎日、家で同じ時間に測定してみろ」なるアドバイスをいただいた。
それをきっかけに、測定値管理すべく、無料のアプリをスマホにダウンロードした。
このアプリ、なかなか使い勝手がいいのだが、1点、どうにもひっかかることがある。
このアプリ管理会社から不定期に送られてくるメールの中に、ときどき「治験参加者募集」のお知らせがあることだ。
その要項を見ると、「北海道在住の30代男性」みたく、とても限定的な条件が記してあることが多い。
それよりなにより、特に驚いたのは新型コロナ関する薬の治験で、対象は子ども、間を開けて4回か5回か注射を打ちに首都圏まで通うというもので、治験参加者には10万円の謝礼が、付き添いの大人には1回1万円の手当てが出ると書かれている。
例えば、重篤な病でもう治療の手だてがない、というような場合に、本人が新薬を試してみたいという治験ならわかる。
だがしかし、とりあえず健康な我が子によく分からない注射を打つなんて、こういうものに手を挙げる人がいるんだろうか。10万円、もらったってあまりにも怖い話ではないか。むしろ、10万円なんて提示されたら、よっぽど危険なのではないかと勘ぐってしまう。
『裏のハローワーク』という本を読んだことがある。
危なくて怪しくて危険な仕事として、マグロ漁船、大麻の栽培、夜逃げ屋、そして治験バイトが紹介されていた。
海外テレビドラマ『LAW&ORDER』でも、貧しい子や身寄りのない子の病気を治す名目で治験を行うのを見たことがある。
薬が安全に使えるようにするためには、動物による実験だけでは不十分だろうこともよくわかるが、それでもこの10万円治験は正直、ゾッとした。
服薬も 注射もできれば したくない
鞠子