おとつい、朝刊に「販売所変更のお知らせ」という折り込みが入っていた。
我が家にこの新聞を配達してくれる販売所が変わる、という。
私は現役時代、新聞を2紙取っていた。
1紙は、その新聞社に勤める人に公私ともどもお世話になったため、10年くらい前から取り出した。
一方の1紙は、それこそ「ものごごろついた頃」から我が家にあった。
今、この家に越してからは、同級生N君の両親が営んでいた販売店が配ってくれている。
そして今、この販売店を経営しているのは、N君自身だ。
だから定年退職し、さすがに1紙にしようと思ったとき、私は同級生を優先した。
新聞の購読数はじり貧だ。
ダブルワークをするようになってから、夜中の2時3時でも起きていることがあって、朝刊が我が家のポストに入る音を聞くこともしばしば。
そのバイクの音を聞いていると、どうやらこの辺りでこの社の新聞を取っているのはうちだけだ。
N君の販売店が配る先は、とんでもなく減ってしまっているのかもしれない。
折り込みを読むと、「一身上の都合により、販売業務を引き渡すことにした」とある。
一身上の都合が何なのかは分からないが、「売り上げ不振」だとしたら。
私と同じ年のN君、引退するには早すぎる。
いや、もしかしたら病気なのかもしれない。しばらく休んだくらいでは、販売店を再開できないような。
どう考えても、いい話ではない。
そしてどう考えても、切なさばかりが身に沁みる。
新聞の 向こうにいた彼 思う朝
鞠子