どうしても買わなくてはいけないものがあって、郊外の大型ショッピングモールに行った。
巨大な駐車場の端っこに車を止め、そこから一番近い館内への入り口はペットショップ横。ガラス張りの大きな室の中に、コロコロしたかわいらしい子犬が思い思いなことをしていた。
…とその前に、ベビーカー3台、それぞれに2匹ずつ犬を入れ、さらに1台には生まれたばかりのような小さな犬を入れたケージを置き、その腕には1匹抱っこした状態で立っているオジサンがいた。
そして、ペットショップに立ち寄る人々に、自分が抱いている犬を「抱かせよう」として次々声をかけている。
立ち位置からして、やっていることからして、ペットショップの店員なら問題ない。
実際、ベビーカーに乗っている犬もオジサンが抱いている犬も、毛並みの美しいいかにも手入れが行き届いた犬ばかりだ。
だが、当のオジサン自身があまりに胡散臭い。ストレートに言ってしまうと、ホームレスみたくな感じなのだ。
そして、犬はきれいだが、乗っけているベビーカーはオンボロ。
もしかしてこのオジサン、ここで「商売」しているのではないか。
1匹いくらで売る、とか、抱っこさせて、写真を撮っていくら、とか。
だとしたら、ペットショップは大迷惑だし、そもそもモールの敷地内で勝手に商売ができるはずがない。
と、その前に、モールの中、犬はOKなのか?
OKなのは、介助犬とか盲導犬のみではないだろうか。
世の中、いろんな人がいる。
見た目で判断してはいけないが、行きも帰りも思わず避けて通ってしまった。
犬たちは 己の運命 知りもせず
鞠子