昨日、映画『波紋』を観た。
上映最終日なのに、主演の筒井真理子さんがトークショーを行うというビッグなプレゼントつき。
筒井真理子ファンの私は、今週、深夜まで仕事をしたりして、昨日の時間を確保した。
で、まずは映画『波紋』。
のっけから不穏な描写に胸がゾワゾワした。
中流家庭のワンシーン。
洗濯をたたむ母・依子。ソファーでスマホに没頭する息子。そこへ帰ってきたサラリーマンらしき夫。
ごくごく普通。
だけど、なぜだかめちゃ不穏なのである。これは何かある、と思わずにはいられないのだ。
その理由を、あとで冷静になって考えてみた。
まず、音がない。
音楽はもちろん、夫が帰ってきてもうなずく程度。
息子も会話がない。
そして、そういえば夫の帰りが妙に早い気がする。
なのに、庭は色鮮やかなガーデニングが施され、これがまた不穏感を醸し出す。
以降、要介護の姑、姑のセクハラ、夫の失踪、新興宗教、パート先で遭遇するモンスター客、夫の帰還、夫の癌、耳が不自由な息子の彼女etc.etc.、どこにもありそう&私も遭遇しそうな「不都合」にますます胸がゾワつくのである。
ただ、登場人物全てが「裏」も「表」も描かれていることに、多少救われる。
例えば新興宗教の教祖。
依子の弱みにつけこんで高額商品を売りつけるが、それでも彼女が説く説教(?)は、案外間違っていないのだ。
あるいは、耳の不自由な息子の彼女。
障害があるかないか以前に、したたかな一面を持ち合わせていることが垣間見える。
『波紋』を観て、人間って嫌だなあと思うか、人間って面白いなと思うか。
私はその両方を感じてしまったから、胸がゾワつくんだろうな、と思う。
写真撮影OKでした。
うまく撮れてなくて申し訳ないのですが、筒井真理子さん、テレビや映画で観るそのままの魅力的な女優さんでした。
ますますファンになりました。
善悪も 狂気も涙も 紙一重
鞠子
