この春から、美術に関する大学の社会人向け講座を受けてきた。
絵も彫刻も版画も、観るのは大好き。ただし、一切知識なし。なので受講は少々勇気がいったが、オンラインだから、気分的に敷居が低くなったのである。顔出ししないし、どシロートでも、ま、いいか、と。
ところがフタを開けてみたら、この講座、めっちゃ面白かった。美術から外れた話題や雑談もされるのだが、それも毎回奇想天外で、面白かった。
ただ……
講座はハイブリット形式で行われ、私はオンライン受講組。
開催初日、オンライン受講生は私一人だった。たまたまかと思ったが、次の回も私一人。で、その次の回も私一人。つまり、オンライン受講生は私一人だけだったのである。
御多分にもれず、電波がダメだったり資料の共有ができなかったりで、たびたびトラブル発生。教室にいる受講生さんたちにとっては、画面の向こうのたった一人は迷惑でならなかったと思う。講師もずいぶん気を遣ってくれ、それもむしろ申し訳なかった。そのことを講師に言ったら(←画面越しに)、「今は大学でもこういう形態の授業がほとんどだし、気を遣う必要は全くありませんよ」と言ってくださった。
だが……
秋期からは、「リアルのみ」になってしまった。
さもありなん。当然と言えば当然。
この大学の社会人講座は、美術講座だけでなく、すべてが「リアル」か「オンライン」かで、ハイブリット形式はなくなったのだが、そうでなくても実績が「オンライン1人」じゃあ、「リアルのみ」に変更されて当たり前だ。
となると、残念だけど、もう受講はあきらめざるを得ない。
まだ、公共交通機関を乗り継いで通うのは怖いし、かといって、毎週、隣県まで車を走らせるのもしんどい。
コンスタンティン・ブランクーシとかマーク・ロスコとか、今まで「聞いたことも見たこともない作家&作品」をいっぱい紹介してもらったのに。
オンラインじゃなかったら、つまり新型コロナがなかったら、出会わなかった世界だった。
講座が面白かっただけに、本当に残念。
一本の 羽形の金属 鳥が翔ぶ
鞠子