この前受けた乳がん検査の結果を聞きに行ってきた。
診察室は2つあり、どちらから呼ばれるかわからない。
世の中、お盆休みだからか、患者がやたら多い。待ち合いスペースもいっぱいで、唯一第1診察室の真ん前しか席が空いておらず、やむなくそこに座った。
診察室が開くたび、中が見える。
なんと、本日の担当医は松下洸平似。でもなんとなく傲慢なしゃべり方の若者で感じ悪い。
この病院、しょっちゅう医師が変わる。新人医師や研修医に経験を積んでもらう役割も担っている基幹病院だからやむを得ない。特にここのN部長は、県下で1、2を争う有名医なのだ。私もウン十年前、初めてここに来たのはこのN医師狙いだった。
天は二物を与えず、と言うが、N医師は二物持っていた。
なんとも癒し系の美人。そして落ち着いた温かいしゃべり方。この人がメスを手に癌を切り取るなんて、想像もできないくらい穏やかな女医さん。
触診やエコー検査のとき、「手が冷たくてごめんなさいね」と謝られて、こちらが恐縮してしまうくらいだった。
こんな女の人もいるんだなあと、尊敬の念を抱いた。
だが、幸か不幸か、これまで検査結果はずっとシロ。検査自体も、技師が行うようになった。だから、N部長とは全然会ってない。毎回、違う新人医師から結果を聞いている。
そんなこんなで1時間以上、待たされた。
松下洸平医師だと思い込んでいたが、第2診察室の方から呼ばれた。中にN部長がいて、びっくりした。思わず、「先生、お久しぶりです」と言ってしまった。と同時に、嫌な予感がした。
今日は何で部長???
···だが、今年も幸いなことに無罪放免だった。
穏やかな声で、「大丈夫ですよ。セルフチェックを忘れないでくださいね」と言われた。
N先生は、全然変わっていなかった。
病院は、今、なにかと大変だろうに、N先生は相変わらず美しく、穏やかで、落ち着いていた。
N先生は、まさしく文質彬彬。私の憧れ。
また来年、ここで検査してもらおう、と思いつつ、病院を後にした。
生かされた 生命に今日も 感謝して
鞠子