夕べ、『亀井聖矢ピアノ・リサイタル』に行ってきた。
亀井さんには本当に申し訳ないのだが、正直、あんまし期待してなかったのである。
ピアニストはヤマほどいるし。
なにせ若者だし。
いわゆる「駆け出し」でしょ。
····って、本当にごめんなさい。
声を大にして謝らなければならないほど、超絶技巧の素晴らしい演奏だった。
だが、シロウトのクセに音楽好きなオバサンは、一筋縄ではいかない。
超絶技巧で、できすぎで、非の打ちどころがないがために、物足りなく感じてしまったのだ。
シュッとした立ち姿。かわいらしい顔立ち。真摯でスマートなステージマナー。そうしていいことずくめであればあるほど、皮肉なことに印象が薄くなっていく。
歌やピアノ、ヴァイオリンやチェロ。
これまで、それ単独のコンサートに何回か行ったが、音楽と共に奏者の「人生」「思想」「喜怒哀楽」がときに激しく、ときにじわじわと迫ってきて、感動が倍加する。
亀井さん、21歳。
私は、21歳だからこその粗削りな演奏を、苦悩、荒々しさ、破天荒さを味わいたかった。
プログラムは、
○ショパン/24の前奏曲 作品28
○J.S.バッハ/半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903
○ラヴェル/夜のガスパール
○バラキレフ/東洋風幻想曲「イスラメイ」
むしろ、亀井さんが50歳になったとき、これらの曲をどう表現するのかが、とっても楽しみ。
それをすごく聴きたい。
···だがしかし、残念ながら、そのころ私は、既に生きてない可能性大。
音楽の 深さと闇を 知った夜
鞠子
