松本白鸚さん主演の『ラ・マンチャの男』が、今夜の公演から中止になった。
関係者のなかで、新型コロナに感染した人が出たからだ。
『ラ・マンチャの男』の中止は今回が初めてではない。ついこの前も、同じ理由で中止に追い込まれた。
白鸚さんの当たり役、それも最後の公演なのに。
今夜のチケットを持っているファンはたまらないだろうな。お金を返してもらえば済むという問題ではない。遠方から駆け付けるファンもいるわけで、会場までの足や宿泊も確保していることと思う。何より白鸚さんとの最後の最後の「一期一会」だったんだから。
もちろん演じる方も大変。チケット返金に伴う業務や金銭的な損失もさることながら、舞台にかかわる人たちのモチベーションやコンディションをを維持するのは並大抵のことではないと思う。
なにより、感染した関係者の気持ちを思うと、たまらない。
だがしかし、このご時世、これが「当たり前」になってしまっているのだ。
シーズンチケットを買って毎月聴きに行っていたオーケストラの今月の定期演奏会も、同じ理由で中止になった。
コロナ禍になってから、一切行っておらず、チケットも買っていない。それでも行きたいな、行けたらいいなと思いながら、毎回、案内を見る。一方でこうして中止のお知らせも見る。
「大勢が至近距離で行うしかない仕事」や「絶対、接近・接触が避けられない仕事」はいったいどうすればいいのだろう。
今更ながら、世の中、そういう仕事がほとんどではないかと、中止のお知らせをみるたび思い知る。
かつてはそんな視点で仕事を考えたこと、全くなかった。
どんなにITが発達しようとも、ロボットが活躍しようとも、100%は取って代われないのだ。
人と人 関わり抜きには 生きられず
鞠子