コロナ禍の前、たびたび利用していた旅行会社から、オンラインセミナーの案内が来た。
『ライフプランセミナー』、つまりお金にまつわるセミナーで、いくつかコースが紹介されている。
参加費無料。
旅行会社は、これでどうやって利益を得るのだろう。
セミナー終了後、後日、希望者は個別相談を受けられるので、その際、手数料をとるのかと思ったが、個別相談自体も、最初は無料らしい。ならば、個別相談を受けておしまい、ということもあるわけで、そうなると、旅行会社の利益はない。それどころか、講師に謝礼が発生するから、持ち出し、ということになる。
大打撃をこうむった旅行業界。とはいえ、この展開は、私にはいまいち理解できない。
…そう言いつつ、実は受講してみた。
テーマは『人生100年時代のお金を考える』
夫婦二人、100歳まで生きるとして、そこそこの生活をしようと思ったら「1億5,000万円」必要なんだそうだ。
そんなお金、今からシャカリキに働いてもできやしない。銀行に預けたって、スズメの涙すら増えない。かといって、ハイリスクな投資など、する気もない。
人口ピラミッド、物価、年金…聞けば聞くほど、暗澹たる気持ちになった。
長生きなどしたくない、つくづくそう思ってしまった。
だがしかし、寿命はどうにもできぬ。
無料セミナーの成果は、旅行会社が企画する不可解さと、残りの人生の厳しさを目の当たりにしたことだった。