今日は名フィルの日。
久しぶりにモーツアルト『レクイエム』を聴いた。
私自身、初めて演奏会でモツレクを歌ったのはウン十年前。
「今年の演奏会は『レクイエム』」と決まったとき、すごく嬉しかったことを覚えている。
さて、
今日のモツレク、すばらしかった。
高校のコーラス部とそのOBによる合唱だったのだが、ものすごく練習し、歌い込まれていることがよくわかった。
なにしろ全員暗譜で楽譜を持っていない。
また、珍しく男性の割合が多く、重厚さもあってなかなか新鮮な響きだった。
だがしかし…
整いすぎている、というか、すきがない、というか。
『レクイエム』にまつわる黒い影や死のにおい、苦悩や悲しみや…そんな「心のうごめき」は、ひとまずよそに置いておいて、合唱の完成度をあげました…みたく聴こえた。
個々が画一化され、完璧に調整された表現は、私は聴いていて疲れる。
そういえば、OBさんたちは、衣装がおそろだった。
これも私は見ていて疲れる。
まちまちの体型の人たちが、同じ衣装をつけている。当然、似合わない人もいる。なにより、個性が押さえられてしまっているように見える。
もちろんこれは好き嫌いの問題。
集団の美に価値を見いだす人もいるわけで。
実際、合唱コンクールなどは、こういう美しさに高い評価が与えられるのだろうと思う。
ま、この合唱団だったら、私はとっくにギブアップしていたな。
だとしたら、今の私の音楽生活はないわけで。
「やっぱりモーツアルトよりBACHがいい」などと考えることも、また。