繁華街にある某X候補者の選挙事務所では、そろいのパーカーを着た若者たちが、道行く人一人一人に大声で挨拶していた。
「よろしくお願いします! がんばります!」
何をがんばるのか? 誰ががんばるのか? キミじゃないだろう … 小うるさい鞠子は横目で見つつ、知らん顔して通り過ぎようとした。
そのとき、
後方から大音響で某Y候補者の名前を連呼する車が近づいてきた。
さて、X氏の選挙事務所の前を通るときこの車に乗っている人が何と言ったか。
「がんばってください! ご健闘を祈っております!」
…思わず吹き出してしまった。
あきらかにうそじゃん、これ。
「ともにがんばりましょう」「いい戦いをしましょう」ならまだしも。
ここのところ、ずっと選挙がらみ。
選挙カーやポスターや新聞折り込みまで、いろいろ見聞きするが、名前の連呼に何の意味があるのか、顔が大写しになったポスターに何の意味があるのか、全然理解できない。
連呼された名前やポスターに載っている顔を見て、「この人に一票、入れよう」と思う人がいるのだろうか。
いない、とは言わないが、ものすごくたくさんいる、とも思えない。
それに、連呼された名前やポスターの顔で投じられた票は、ある意味「とってもいい加減な一票」ではないか。
だから、選挙一式にかかる費用がもったいない気がしてならない。
ましてや、応援隊ががんばるだの、ライバルにがんばれだの、聞いた私はバカにされた気分。
選挙のたび、同じ光景に出くわすのだが、年々、こうしてハラが立つようになってきた。