家に帰ってポストを見たら、なにやら紙袋が入っていた。
「どうやって入れたんだろう」と思うくらい、ムリムリ入れてある。
やっとの思いで取り出したのだが、出した途端、一目で「お菓子だ」とわかった。
誰が?
何で?
これは何?
家に入り、袋をあけてみたら、予想通り焼菓子が入った箱があり、手紙が添えられていた。
差出人は、我が家のとい面に住む一人暮らしのおばあちゃんの娘さん。
おばあちゃん、施設に入居することになったのだそうだ。
今までのお礼と、町内会を退会する旨が記されていた。
3月で私の町内会役員はとりあえず終わるが、この年度がわりに際し、これで3軒から退会届を出されてしまった。
遠方での介護・もともと無人のお宅・そして施設入居。
どれもやむを得ない理由だが、その結果、MAX20軒あったわが班が、今や半分の10軒、そのまた半分が独居という「限界集落状態」になってしまった。
・・・・・・ついこの前まで、どの家にも、若者や子どもがいてにぎやかだったのに。
とい面のおばあちゃんも、いつも身ぎれいにして、ずっとひとりで頑張っていた。
こういう状況になることは十分想像できていたものの、桜の花びらを散らしたいかにも春らしいお菓子の箱を目の前に、なんともいえず淋しい気持ちになった。
春の陽にかざす手の内涙落つ
鞠子