昨日は、演奏会前、最後の声楽レッスンだった。
私はラスト夜6時30分ごろからのレッスンだったのだが、5時を少し回ったところで諸実務をしてくださってる団員Mさんから恐ろしいメールが…
「至急、来れませんか?」
まだ仕事中だもん。行けるはずがない。しかし、こんなメールが来るということは、他の人のレッスンがさっさと終わってしまった、ということだ。
演奏会前だから、さらりと通してみんな終わってしまったのだろうか。
もうどうしようもない。
「行けても6時です。先生をお待たせしては悪いので、今日のレッスンはあきらめます」
とメールした。
するとしばらくして再返信。
「今、Yさんのレッスンが始まりました。6時には来てください」
つまり、Yさんの後は私しかいない、ということだ。
で、定時になるやいなや会場へ急行。
急いでレッスン室に入ったら、Sさん、自主練習中。先生の姿はない。
Mさん曰く「先生、散歩に行かれました。時間、つぶしてきます、って」
もちろん、私が悪いわけではないけれど、そこまでして待っていてもらうのはあまりにも申し訳ない。
もともと先週のレッスン時、「レの音がフラット気味にならないように」「半音階、きれいに出して」程度のご指摘があっただけで、「それでいいよ」とほぼほぼOKをもらっていたのだ。今日は一回、さらりと通すだけなのに、お待たせするなんて。
――との予想、それはヒジョーに甘かった。
この期に及んで、単語の発音・発声・テンポ・アーティキュレーション・アルシスとテーシスetc.etc…細かいご指導のオンパレード(@ ̄□ ̄@;)!!
おまけに、伴奏のAちゃんにもご指導が!
先生、最初はレッスン室の最後列にいらしたのだが、立ちあがり、踊り(?)、指揮をし、とにかくすごい熱&リキの入ったご指導ぶり。そのうち私の横に来られて、踊り(?)、指揮をし、何回も手直し(←いや、歌い直し、か)。
…まずい。音楽神が先生に降りてきてしまった。完全にスイッチオン状態。『カンタータ界』にどっぷり入りこまれてしまった。
・・・そうしてみっちり30分強。あまりの熱意についていけない私は、疲労困憊。そこへ追い打ちをかけるよなこのお言葉。
「これだけやって、ようやく声が出てくるんだから。エンジンがかかるのが遅いんだよ!もっと体を使って歌え!」
太田出版から出された『全身芸人――本物たちの狂気、老い、そして芸のすべて』という本の書評に、今回のレッスンをぴたりと言い当てたような文章があった。
「芸事に生きる人は、何をするか分らぬ狂気をはらむからこそ面白い」
――「芸事」を「音楽」や「文学」に置き換えたら、まさしく私の師匠たちそのもの。
・・・先生、すみません。これほど熱心にご指導いただき、本当に感謝しております。
ですが、
勝手を申しますが、このようなご指導は、せめて先回、やっていただきたかったです。
1音に1小節に命込む
鞠子