地元の私立大学から、「客様の中で、誰か講師を紹介してほしい」という要請がきた。
講師の条件は、「経営者」という肩書を持った人。
なんでも、会社の概要を話したあと、今、直面している課題を提示、それを学生たちがグループごとに、調査したり、検討したりしながら解決策を考え、1ヶ月後、講師の経営者に向けてプレゼンする、という内容なのだそうだ。

学生側からすれば、就職につながるかもしれないし、架空の課題を考えるより、うんと現実的で楽しいかもしれない。
企業側にとっても、仕事と関係のない若い人の斬新なアイデアを聞けるのでプラスになる。卒業後は自社に入社してくれるかもしれない。
だから、双方にとって、なかなかよい企画ではないかと思う。

だが、講師の条件がもう一つあることを知り、がっかりした。
それは「資料をパワーポイントで用意できる人」。
なぜ、こんな条件が課されているか。
学生たちは、講義時間内で、講師の話を聴く。(←パワポを見ながら)
そのあと1ヶ月の調査検討期間中、何度もパワポの資料を見る必要があるから、なんだそうだ。

これって、私はすごく違和感ある。

講義中、重要だと思ったことはメモをすればいい。
何をメモするか、それがまず学びの一歩だと思うし。
グループメンバー全員、メモした内容はばらばらのはずだ。それを交流するのも一つの学びだと思うし。
それに、大学側の姿勢として経営や課題の中身より、「パワポの資料がつくれるかどうかが先」なんて、どうにも解せない。

現に何人かの客様名が浮かんだが、私が推す人は皆おしなべて「パワポの資料はつくれない」。
もちろん、どの会社にも資料をつくれる社員はいるが、そんなことで余計な仕事を増やすことはしたくない。
だって、パワポの資料などなくても、十分、魅力的な経営の話ができる経営者だもん。

…いいのか、大学、こんなことで。
しかし、オトコ後輩たちに言わせると、大学だけでなく小・中・高、いずれも「同様」。
本当に近い将来、「手書きでメモができる」人は、天然記念物扱いかもしれない。

・・・いいのか、私たち、こんなことで。