市川海老蔵さんが十三代目市川團十郎白猿を、長男の勸玄くんが八代目市川新之助襲名するとの記者会見があった。
海老蔵さんは、かなり前、新春歌舞伎で観たことがある。
ま、とにかくすごいオーラがあった。
また、そのオーラをこれでもか、これでもかと際立たせるような演出がなされていた。
…なので、私としては、少々引いてしまうのである。
オーラに圧倒される、というか、食傷気味、というか。
素顔でもあれだけ整った顔立ちなので、かえってマイナスになってしまうこともあるんじゃないかしらん。
そして、勸玄くんのこれまた愛くるしい顔立ち。精いっぱいつとめる様が、またなんともかわいらしい。
…が、たかだか5歳の坊やがここまでせねばならぬのかと気の毒にもなってくる。
先週、仕事で会った男性は、東北大震災が起こって以来、今もずっと支援活動を続けている。
そうしている理由は、奉仕精神とはちょっと違う。もちろん売名行為でもない。ご自身の人生にさまざまな紆余曲折があったのだが、たまたま関わった支援活動により、苦難を乗り越え、生きる道を見いだした。
曰く、「いろいろあって心身ともに苦しい立場に追い込まれたが、そこでもがいたり苦しんだりしていたからこそ、きっかけがつかめた」。
ぬるく生きている私などからすれば、「え?ほんとに?」と眉にツバをつけてしまう。私にとっては被災地支援で立ち直るなんてありえない。
でも、人はそれぞれなのだ。
何がきっかけでどう変わるか、その人にしか体験できないことなのだ。
勸玄くんは、生まれたときから歌舞伎役者になることが決められていた。
ぬるい私には想像もできないが、そこでもがいたり苦しんだりするからこそ、誰にもできない芸の力を身につけていくのだろうな、と思う。