10年以上前に、読んだ本を思い出した。
夏樹静子『椅子がこわい』。
作家・夏樹静子さんが、立つのも座るのも寝るのもままならないほどの激烈な腰痛と戦った記録である。
調べても病名がわからない。従って、治療の施しようがない。よいと言われるものはあらゆるものを試すが効果がない。
確か夏樹さんは、この激痛のために「死」まで考えたはず。
日常生活ができないほどの苦しみ。
ネタバレになり、かつ嘘みたいな話だが、結局この原因は「心理的なもの」。
「書かねばならない」気持ちが、腰痛という形で夏樹さんをとことん追い詰めた。
読んだとき、すごくショックだった。こんなことが、あるのだろうか、と。
一方で、「作家」という特殊な職業ゆえの話であり、ま、私には関係なくてよかったな、とも思った。
だがしかし… 今回の歌合宿は、夏樹さんのプチ経験。
2泊3日の間、腰痛・足痛、全くなかった。
長時間バスに乗るので血行が悪くなり、着いたらひどいことになりはせぬかと戦々恐々だったのだが、なぜか痛みゼロ。
ものすごく快適な3日間だった。
だがしかし… 昨夜戻って本日から仕事。
朝から、腰痛・足痛、元通り。
夏樹さん同様、仕事がダメなのか。あるいは気候がダメなのか。それとも気圧の問題か。
いずれにしても、こんなにゲンキンに調子が変わるなんて、何か情けない。
健康とは、やはり「身」「心」そろわねば成らぬものなのだ。
不快とは無縁な日々もあったのに
鞠子