朝、起きてから新聞を取りに外に出る。
東隣のおじいちゃんが、窓からじっとこちらを見ている。
この一週間、毎日。毎朝、6時30分、わが家の玄関をじっと見ているのである。
たまたま、お隣の洗面所が我が家に面していて、歯磨きにきたついでに振り返って見ているのであろうが、下着姿のおじいちゃんに凝視されているのは、正直、いい気分がしない。
このおじいちゃん、耳もずいぶんとおいのだ。
普通にあいさつしても聞こえない。結構、大きな声であいさつしても聞こえない。その加減がわからないから、なんとなく無視されたような気になる。
その上、じっと観察されているようで。
実は、よく、わが家の裏庭も見つめているらしい。
平日はいないからわからないが、休日、裏庭に出てみると、おじいちゃんがじっと見ていることがよくある。
やっぱり下着姿で。
私に気づけばなんだか話しかけてくるのだが、なにしろ、こちらの返事は通じない。
悪気はないのだろうが、やっぱりいい気はしない。
「水着を裏庭に干している」と言ったら、音楽トモに「そんなの、絶対イケナイ」と叱られたことがある。
私は水着をとっかえひっかえしてスイミングに行くので、5着も6着も干してあることもある。
「ダメダメ、絶対ダメ。危なすぎる。信じられない」、音楽トモはますます声を大にした。
こういうスキが大惨事を招くのかも。
おじいちゃんに関していえば、加齢が原因のこの行動、誰もが多かれ少なかれこうなるのだと思うと、切なさも半分ある。
裏庭に何を見るのか見えぬのか
鞠子