法医学者・上野正彦さんの講演会に参加した。
話を聴きながら、ふと、昔、聴いたムツゴロウさんの講演を思い出した。
内容は、全く違う。
だがこの二人、「実体験者だけが持つ凄み」がとても似通っている、と思ったのだ。
上野先生の仕事は、「変死」といういわゆる「一筋縄ではいかない死亡原因」を徹底究明すること。
どんなに複雑でややこしい、あるいはおぞましい、あるいは想像を絶する人間関係、利害関係が絡まっていることか。
そういう現場を何度も何度もくぐり抜けた人がもつ達観。
一種、何か突き抜けた「明るさ」みたいなものを感じた。
その「雰囲気」ゆえ、本来なら目を背けたくなるような遺体の写真も、違って見えた。
肉体は死ねば哀れに朽ち果てる
鞠子