今回の映画鑑賞は、『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』。
なんといっても激辛&激苦のマイケル・ムーア監督、予想はしていたが、本当に予想通り、すごく面白かった。
そして苦かった。
疲弊する大国アメリカ。
一向に向上の兆しが見えない国家を憂いて、防総省はこともあろうに天敵のマイケル・ムーア氏に泣きついた。
そして、たった一人で侵略者として敵国に乗り込み、その「強みの秘訣」を略奪してこい、というミッションをくだす。
…というストーリーなのだが、乗り込んだ国の「秘訣」がすごいのである。
たとえば、
イタリアの長すぎる有給休暇。
宿題を撤廃したフィンランド。
給食がフレンチのフルコースだというフランス。
刑務所が一軒家であるノルウェー。
しかもその「非常識」ならぬ「異常識」のおかげで、生産効率トップクラス・学力トップクラス・再犯率最低…といった効果を生んでいる、というのである。
アメリカだけではなく、日本でも、あり得ないし考えられない施策の数々を目の当たりにし、驚きの連続だった。
いや、アメリカよりもむしろ、日本に対する警鐘じゃないのか、この映画。
しかしどの施策も、もう一歩、踏み込んで考えると、どれも「人間のサガ」にマッチしているのである。
でもできない。
それは、「一歩踏み込んで考える」ことをせず、「目先の利益」ばかりを手っ取り早く追い、その場しのぎの対応策をとるからだ。
もちろん、どんな施策をとっても、ベストの策はあり得ない。
いい面もあれば、必ず悪い面もある。
だから、すべてを鵜呑みにするわけにはいかない。
…などと、驚きつつ、考えつつ、胸を痛めつつ、観た。
インタビューに答えた各国の経営者、社員、お母さん、お父さん…みんな、きらりと光る警句を口にする。
思わず、メモしたいくらいだった。
中でも特に印象に残ったのは、フィンランドの数学教師が言ったこの言葉。
「私たちが生徒に教えるのは、楽しく生きることだけ、ですから」
豊かさや幸せってそれ、何なのか 鞠子