で、やっぱり観た。
美輪明宏版『黒蜥蜴』。
こちらは、監督・深作欣二。
そう、あの『バトル・ロワイアル』の。
そう思うと、なんか観る前から危ない予感。
…だったが、実際は、先週観た京マチ子版の方が、インパクト大だった。
実は私、美輪明宏という人の魅力がよくわからない。
ストレートに言っちゃうと「好きじゃない」。
それでも、三島由紀夫が美輪明宏のために書いた戯曲、とのことなので、さぞや…と期待していたのだが、とにかく美輪の「顔の大きさ」が気になってしかたがなかった。
ただ、
ドレスは、どれもすばらしかったな。
ブラック・シルバー ・ホワイトばかりで、黒蜥蜴の妖艶さ満載。
また、音楽がバロックっぽくて品がよく、かえって妖しい。
女盗賊・黒蜥蜴VS明智小五郎。
それは単なる「対決」ではなく「恋」も絡むから面白い。
だけど、黒蜥蜴が愛した男、というには、木村功が演じた明智はスケールが小っちゃすぎる。
京マチ子版の大木実といい、木村功といい、明智小五郎としての魅力が今一つ。
ダンディーで切れ者で、懐が深くて、それなのに母性本能をくすぐるようなかわいげもある。そんな明智を演ずるのは、とても難しい、ということか。
いずれにしても、2週間、楽しませてもらった。
ちなみに三島由紀夫か演じた「日本青年の生人形」は、ま、とにかくすごかった。
苦痛に歪んだ表情は、快楽の裏返し。
あくまで剥製。
黒蜥蜴はこの剥製に口づけをする。
「キス」じゃなくて、「口づけ」。
この場合、「口づけ」じゃないと、ダメ。
そんな感じ。
…あとは想像に、お任せします。
今はまだやさしく触れるだけでいい 鞠子