幻冬舎から出た『ルポ 塾歴社会』なる本の広告を見た。
「日本のエリート教育を牛耳る鉄縁会とサピックスの正体」との副題がついている。
鉄縁会もサピックスもはじめて聞く言葉。
なんでも名門中学の受験塾として圧倒的なシェアを誇るのがサピックスで、これら名門校の合格者に限り入塾試験を免除される塾が鉄縁会。
鉄縁会にいたっては、「秘密結社もどき」、さらには、東大医学部合格者の6割以上が鉄縁会出身で、「わが国の頭脳を育てている」とまでうたってある。
この広告から察するに、サピックスやら鉄縁会の存在に警鐘を鳴らす本、のようだ。
私がG高校に入学したとき、町の中心部にあった中学から入学してきた子たちは、その多くが「タニザワ塾」(確かこんな名前だったと思う)に通っていることを初めて知った。
そこの塾生は、G高校に入学したら、どんな日程でどんな宿題が課され、どんな試験が行なわれるか、把握していた。
だから、合格発表の段階で、もう、入学後の勉強に手をつけていた。
…サピックスや鉄縁会は、これの高度版ということか。
『ルポ 塾歴社会』は読んでないし、読んだとしても100%信じたりはしないと思うが、なんとなく、こうした集団というのは洗脳されやすく、ひいては政治的に「利用される」ニオイがする。
そもそも試験をパスする学力一辺倒というのが非常に危うい。
学校教育の制度自体のほころびが目立ち始めた今、「人間の能力」とは何か、それをどうはぐくむのか、という根底を考えないと、世の中はぎすぎすする一方であり、結局、成り立たない状況に陥る気がする。
もっとおおらかな世界ってできないものなんだろうか。
他のいのち奪って生きる宿命に桃源郷は夢のまた夢 鞠子