老犬 「ちょこぼ」 頑張る。。 癌との闘病日記。

老犬 「ちょこぼ」 頑張る。。 癌との闘病日記。-外見る犬

  老犬 ちょこぼ の闘病日記と、ちょこぼ一家との日々をつづってゆきます。


メラノーマの治療費はどれくらいかかるのか?実際はどんな治療をするのか?


ちょこぼが病気になった時に、調べても分からなかったことを書いていきます。

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お別れの夜 3/3 《2010.11.4~11.5》

papaさんはレイトと一緒に寝ていたけれど、眠りは浅かった。レイトが動くのでふと目が覚めて時計を見ると1:51だった。そしてしばらくすると階段を下りてくる音がして、mamaさんが寝室に入ってきた。そのときにはなぜかほとんど悟っていた。

「たったいまちょこぼが亡くなったよ」とmamaさんが言った。

「あのまま安らかに?」とたずねると、「うん、全く苦しまなかった」とmamaさんは言う。

ちょこぼが死んで悲しいと言うよりも、苦しまずに終わることが出来て本当に良かったという気持ちで一杯だった。

すぐにちょこぼのそばへ行った。

ちょこぼはずっと静かに寝ていたけれど、mamaさんが台所の片づけを終えて、シャワーを浴びて戻ってきてちょこぼの脇に腰をかけてしばらくしたときに、まるでmamaさんを待っていたかのように息を引き取った。

1:55。papaさんが目を覚ましたすぐ後のことだった。

お気に入りのソファに敷いたお気に入りのマットの上で、ちょこぼはいままでに見たこともないほどの大きな口を3回繰り返し開けて、大きく大きく息を吸い込むようにしてそのまま息を引き取った。誰よりも一番面倒を見てくれたmamaさんに看取られて。一度も座薬を入れることもなく、ちょこぼはちょこぼとしてみんなとしっかりお別れをして旅立っていった。

あやもそばに来た。ちょこぼの顔は本当に安らかだ。病気になる前のちょこぼのようなとても優しい顔に戻っている。みんなの目からあふれる涙は、悲しいけれど辛い涙ではなかった。神さまはお願いを聞いてくれた。良かったねちょこぼ。ありがとう神さま。

仕事の関係でしゅんは戻ってくることが出来なかったけれど、もししゅんが早く帰ってきていたら、いつものように暗い部屋でちょこぼと一緒に寝ることになっていた。もしかするとちょこぼが息を引き取るときに誰も気付かなかったかもしれない。最後の晩にまだ生きているちょこぼに触れることが出来なかったしゅんには気の毒だったけれど、おかげでちょこぼは大好きなmamaさんに見送ってもらうことが出来た。

しばらくして帰ってきたしゅんは大粒の涙を流しながらちょこぼを抱き上げた。ちょこぼにはまだ温もりが残っていた。ちょこぼの身体の中にはまだ空気が残っていたのだろうか。しゅんがちょこぼを抱き上げると、信じられないことにちょこぼは、くぅ、と甘えたような声を出した。

この夜のことはきっとずっと忘れないと思う。16年と10ヶ月と少し。ありがとう、ちょこぼ。しばらく待っていておくれ。また駆け回って遊ぼうね。

<mamaさんと。心配そうなバナナ・レイトも>
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<間に合わなかったしゅん>
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お別れの夜 2/3  《2010.11.4~11.5》

ちょこぼを家につれて帰り、ガレージに車を入れて一人になったとき、神様とついこの前に亡くなった父にお願いをした。どうかちょこぼを助けて下さい。苦しくないように、辛くないように、痛くないように救ってあげて下さい。ゆっくり、ゆっくり休ませて上げて下さい。

でも、もしできることなら、もう一度ちょこぼと話をさせて下さい。リビングにちょこぼを寝かせていたけれど、短くても2時間程度は効くはずだった注射から1時間くらいで目覚めてしまう。ちょこぼを寝かせていたキャリーバックから、あの悲しげな吠え声が聞こえてきた。そしてだんだん強く、繰り返しの間隔が短くなる。いよいよ始まったと思った。

他の3匹の犬たちも、異変を察知して不安そうな声をあげる。ちょこぼのかごを除こうと3匹が周りに寄ってくる。何とかしてよとでも言うように私たちを見てワンワンと吠える。
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うなり声を上げているちょこぼをかごから出して、私たちが囲んだ椅子の上に寝かせた。ちょこぼは相変わらず吠え続けているけれど、よほど疲れているのか昨晩より大分弱々しい声になっている。

ちょこぼの身体をさすり、ちょこぼの耳元でささやき続ける。ちょこぼいいこだね。よしよしちょこぼ。おりこうさんだね。

するとちょこぼは落ち着いてしばらく静かになるけ。でも、またすぐに浮かされたように吠え始める。

そんなことを繰り返して1時間くらい。そろそろ座薬を入れようかと話していたら、ちょこぼの様子が落ち着いてきた。そして驚いたことに何度か立ち上がろうとさえした。

あの時座薬を入れていたら、ちょこぼの意識はきっともう戻らなかったと思う。ちょこぼが落ち着いているので、みんなでかわるがわる抱っこしてあげることにした。ちょこぼに話しかけながら、それぞれが知っているちょこぼのお気に入りの場所をさすり、すっかりやせ細ってしまった身体をマッサージして暖めているとちょこぼに変化が起こった。

僅かかもしれないけれど、明らかにちょこぼの意識が戻っている。だらっと垂れていた舌も口の中に納まっている。呼吸も楽そうで、ここ数日間では一番穏やかな顔になっている。

ちょこぼに顔を寄せると、ちょこぼも鼻をつんつんとぶつけてくる。か細いけれど、クウクウといういつもの甘えた声が聞こえる。ちょこぼは理解してくれていると確信した。ちょこぼに一生懸命話しかけた。ちょこぼよく頑張ったね。えらいね。いい子だね。長い間本当にありがとうね。ちょこぼはおりこうさんだよ・・・・。ちょこぼはじっと聞いていてくれたような気がする。ちょこぼとの最期のコミュニケーションだった。

みんなで何度も何度も繰り返し抱っこして、ちょこぼのぬくもりを身体に染み付けた。そんなことを2時間くらい続けていた。ちょこぼはみんなの腕の中でずっと穏やかだったけれ、ど疲れてぐったりしてきたようなのでマットに戻した。

みんなの手から離れてもちょこぼはすやすやと眠っている。

この調子なら今夜はもう大丈夫だろうと、papaさんとあやは取り敢えず寝ることにした。これが23:30ころのこと。mamaさんは仕事の関係でまだ帰ってくることができないしゅんを待って、ちょこぼと一緒にリビングに残ることにした。
<このとき確かにちょこぼは応えてくれた>
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<アヤとちょこぼ一家>
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お別れの夜 1/3 《2010.11.4~11.5》

18:30一日点滴をしていたちょこぼをお迎えに行く。診察室の奥の扉の向こうにちょこぼが入った重症犬用のゲージが見える。

プラスチックのゲージの中で、点滴や機械に繋がれたちょこぼ。呼吸は荒く、時折無意識に意味のない吠え声を上げている。そして、もう力が入らない足を踏ん張って立ち上がろうとする。私たちを呼んでいるのかな。家に帰りたいのかな。

先生から説明を伺った。一気に大量の点滴を行った結果幸い尿は出た。排出する力は残っている。でも数値はほとんど改善していない。これ以上点滴を続けるとそれ自体がちょこぼの身体に悪い影響を与える。できることはもうあまりない・・・。

尿毒症の末期はしばらく苦しむことがある。嘔吐、下痢、精神症状の発作。つらい思いをしながら最期を迎える子も。犬は飲まず食わずでも2週間くらい生きることがある。そしてちょこぼの心臓は強く、繋がれた機械に表示された血圧は皮肉なことに正常値。ちょこぼの肛門も弛緩してきており、少しずつ下痢も始まってきている。とても気の毒な状況を想像してしまう。


もう劇的な改善が望めないことはとっくに覚悟していた。遠目にも尋常ではないちょこぼの姿を見て、「改善」よりも楽に最期を迎えられることを先生にお願いしていた。

楽に最期を迎えさせるのも飼い主の責任だと、自分を勝手に納得させていた。でも安楽死のように積極的に命を縮めることもできない・・。ちょこぼの命が楽に、自然に消えていきますように・・。

何てずるいことを言っているんだろうと思った。

点滴を続けながら、発作で苦しまないように「眠る薬」を繰り返し与えて、その内に深い深い眠りに入っていけるようにしましょうと先生は言ってくれた。

でも万一今日の夜、ちょこぼが病院で一人で最期を迎えてしまったら余りにも寂しく、悲しいので一旦家につれて帰ることにした。帰る前に深く眠る注射を打っていただき、目が覚めてまた発作が起きたら座薬で眠らせることにした。強い注射の効果は普通なら5時間程度だけれど、腎臓の機能が落ちているのでもしかしたら2時間くらいで目が覚めてしまうかもしれないと。昨日の夜のようなことが繰り返し起こる、壮絶で長い夜の予感がした。

明日はどうしても仕事を休めないことをお話したら、いつもより病院を一時間早く開けて待っていて下さると・・・。本当に助かる。そして先生は夜中でも困ったら電話をくださいと携帯の番号まで教えて下さった。心強い。感謝、感謝。


元気だったちょこぼ。
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