ビリオネア・ボーイズ・クラブ('18年11月 大阪ステーションシティシネマ) | Que amor con amor se paga

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原題名:Billonair Boys Club

'80年代前半に、20代の若者がLAで起こした投資詐欺事件の映画化。

『きっと星のせいじゃない』『ダイバージェント』や『ベイビードライバー』のアンセル・エルゴート
『キングスマン』のタロン・エガートン初共演の割には

空いておりました…映画館(汗)

セ○ハラ事件で事実上の引退に追い込まれたケヴィン・スペイシーの引退作品になるんだろなぁ、これ。

'87年にTVドラマ化されているのですが、その時はトム・クルーズが主役に立候補してたそうな。

トム・クルーズ、TV版『ビリオネア~』のオーディションに、スベったから『トップガン』という当たり役を貰えたと思うのだ。

ううむ、運命って判らんものだのう。

そんなワケで、予告編はこちら、あらすじいってみる



時は'83年LA

金融コンサルタントのジョー(アンセル・エルゴート)と、テニス選手のディーン(タロン・エガートン)は、上流社会の人間が集う商談の場で偶然再会する。

2人はハリウッドスクールの同級生で、奨学生だった。

ディーンはスポーツ奨学金で高校に入学
プロに転向したものの、鳴かず飛ばず

今では状態の良い高級中古車やスポーツカーをハリウッドの住民を捕まえては高値で売りとばすのが本業になっていた。

ジョーは幼い頃に両親が離婚。

父ライアン(ジャド・ネルソン)は、土建会社で働き、一人息子のジョーを苦労して私立高に入れたものの、お金持ちのお坊ちゃまばかりが通う私立高で、ジョーは虐められていた。

ライアンは息子に、身の丈にあった仕事と付き合いをしろと教えてきたが、ジョーは、そんな父親に嫌気がさし、頭の良さを生かして金融業界に飛び込んでいった。

折しも、'80年代前半は、金の価格が上昇しはじめていた。

今が買い時だとジョーは、商談相手に勧めていたが、いつもくたびれた安物の背広を着て商談に現れるジョーの事を上流階級の人間は信用しようともしない。

ディーンとジョーは、お互いの再会を喜び、ディーンは出入りしているクラブのハロウィンパーティにジョーを招待した。

だがジョーは、そこに昔の同級生が出入りしているのを目の当たりにし、尻込みしてしまう。

ディーンは、クラブを運営しているセレブの息子チャーリー(トーマス・コッケレル)にジョーを紹介しようとするが、昔の同級生たちが邪魔をし商談は失敗に終わり、ジョーは大恥をかかされてしまった。

そこでめげるジョーではなかった。

その日の晩、彼は『TIME』誌のスティーブ・ジョブズのインタビューを読んだ後に、『どのビジネスにも成功する法則』を考え出す。

ジョブズは、コンピューターは難しく、専門家しか扱えないと思われていたものを、誰にでも扱える様にした。

これは、どの業界にも通用する事ではないかと。

これからの世の中は投資を専門家任せでする時代の胡散臭いものではない。
簡単な仕組みにすればいいのではないかというものだった。

ジョーとディーンは、金の相場を使って儲けようと元手となる出資金を集める。
ターゲットになるのは、投資、金融に詳しくない、セレブの息子たち。

自分でお金を稼いだ事がないのに、金持ちを気取っている輩たちだ。

2人は、かつての同級生やその親たちを丸め込み、1万ドルの融資を元手に投資グループ『ビリオネア・ボーイズ・クラブ(BBC)』を立ち上げる。

だが2人の運はいつまでも続くはずもない。

金の相場が下がり始め、このままでは配当金を渡せない所まで目減りしている事が発覚したのだ。

同級生の親たちの中には、子供の学費まで手を付けて出資している者もいる。
ジョーは良心が咎め、今のうちに全額返した方がいいのではないかとディーンに言うが、ディーンは、このまま騙し通せと、押し切ってしまった。

BBCの最初のビジネスは、スコット(ライアン・ロットマン)、カイル(ジェレミー・アーヴィン)たちビットモア兄弟のつてで、ドイツからBMWを格安で輸入し、米国でセレブ相手に格安で売りさばく事だった。

最初のうちは、自動車関連のビジネスで少しづつ儲けを出していったが、辣腕トレーダーのロン(ケヴィン・スペイシー)が億単位の融資を行ってから、BBCのビジネスは暴動し始めた。

成り上がる為なら、少しづつ嘘を重ね、上流階級の仲間入りを果たしたジョーとディーン。
BBCの中身は、出資者を騙して出資させては、その金で豪遊するという投資詐欺に陥っていた。

ディーンは、クラブ時代からの彼女ビセット(スーキ・ウォーターハウス)を、パーティーに連れまわし、ジョーはロンのパーティーに来ていた芸術家の助手シドニー(エマ・ロバーツ)と恋に落ちる。

順風満杯に見えたが、ある日、BBCの預金残高がゼロになっていた。

裏切ったのは誰なのか…

以下ネタバレです

犯人はロンなんすがね。

ロンは三つの州で政府から指名手配されている詐欺師なんすよ。

ジョーが、シドニーと出逢った時にロンの横にアンディ・ウォーホル(ケーリー・エルヴィス)が座ってるのですが
そのウォーホルでさえも騙された一人だったという。

ロンは、ウォーホルの家から作品盗んで、巧妙な語り口でウォーホルに『彼自身の作品』を売りつけて儲けていたという(滝汗)

ま~、自分の作品盗まれても気が付かない+疑わないウォーホルもナンなんですけどね。

でもってロンが何故BBCを狙ったかというと。

BBCに出資するフリをして、ゴールドマンサックスの融資担当者フランク(ロブ・ゴフ)から2億5000万円騙し取ろうとしたのが真の目的。

ジョーとディーンは、金の値が下がってきているので、石炭会社への投資を勧めていた所だっただけに、ショックも並じゃない。

…この石炭会社買収劇も、かなり胡散臭くて。

従業員の平均年齢が60大で、300万ドルの負債を抱えているという、リアル・ラストベルト状態な会社。

そこに20代の、胡散臭いイケメンの投資会社を名乗るグループ社長が現れて『あなたの会社をお任せください』っておかしいじゃないっすか。

その前に、BBCの配当金の話を、ブルジョワの同級生や親にする時も

3週間で必ず儲けが出ます

…って、そんな話、今じゃー誰も信じねぇっす。qqqqq

今時のスーパーリッチはシンガポールに住んでる華僑で、二代目、三代目は、自分で会社経営してる人も多いだろうから、BBCの様な金融詐欺には騙されないと思うのだ。

この映画の舞台は'80年代半ばのLAで、騙されたのは、いかにも白人の、おぼっちゃま君。

怒り狂った面々は、ロンの野郎許せねぇ!ってコトになり、やったらやりかえせ!となるんです。

ギャーギャー言う割に何もしない、セレブの息子連中、けしかけるディーン。
となると実行犯はジョーになるのです。

ジョーだけじゃぁ心もとないので、ボディーガードのピット(ボキーム・ウッドバイン)は覆面をして、ついていく事にするのですよ。

2人はロンの家に侵入し、よくも貴様騙しやがったな!
小切手切って金返せ!
と脅すんです、が

往生際悪いロンは、邸宅に不法侵入してきたのがジョーと知ると、態度を変えて

他のヤツらなんか、ほっといてオレとパートナーに、ならない?

…とヌカしよるのです。

もっと酷いのが、ピットが覆面を脱いだ時、ロンは、見下してけたたましく笑うのですよ
オレがお前に用心棒の仕事を与えてやったのが最初だよな、みたいな感じで。

するとピットはロンを撃ち殺してしまう。

そこまでしなくていいじゃないかというジョーに、ピットは

線引きをしないと

と、冷たく言い放ち、2人で、ロンの死体を林の中に埋めるのです

利益になるかどうかで、コロっと態度を変えるロンは、恩義はあるとはいえ、限界あったんでしょうねぇ。

誰がロンを殺したのか、裁判沙汰になりましたが、実際のピットはTV番組に出て『自分が殺した』と自供し、その数年後に獄中で亡くなってるのですから。

ロンがこんな事になった後、BBCの面々は、蜘蛛の子を散らすように人が逃げていくのです。

出資したとはいっても、ブルジョワの息子や親ですから、全てを失うわけではないですしね。
今は引き際というので、逃げていく。

そこまで酷い目に遭ってもディーンとジョーは、まだ儲け話を諦めていない。

BBCが絶好調だった時に、メンバーに入れてほしいといって保留していたイラク人のイジー(バーニー・ハリス)が居た事を、ディーンはこの頃思い出すのです。

今頃かよ!とジョーはなじるんですが。

イジーの父(ワリード・ズアイータ)は本国で石油の利権を持っていて、米国の貸金庫にある宝石だけでも500万ドルの価値があるという話に、2人は飛びつくのです。

イジーの金を引き出そうと、2人はイジーの父を、おびき出そうとするのですが、手違いで失敗し、警察に通報しようとしたイジーの父をディーンが絞め殺してしまうのです。

これを最後にビジネスから降りて、今度こそシドニーを取り戻す、とディーンと決別しようとしてたジョーはショックを受けてしまいます。

そりゃぁ、そうだわねぇ…

自分の人生に希望を見出してくれると思ってディーンに付いていった+ディーンの提案を聞いてきたのに、ことごとく悪い方向にしか話が行かない

その理由がだんだん明らかになってきます。

ジョーは、シドニーと結婚前提で付き合っていたものの、心のどこかで引っかかっていったのは、自分が汚いビジネスをしている事。

シドニーとその両親(トーマス・ノウィッチ、ロザンナ・アークウェット)との食事会の日も決めてあったのに、その日にBBCのもめ事が重なり、破断になってしまったジョー。

シドニーは、その後ジョーの帰りを待つことなく、絵を描き続け、この街で個展を開くまでに成功していた。

ジョーとディーンは、ロンの手形が不渡りになった事で、FBIに指名手配され、ジョーは出頭前夜、シドニーに逢いに行くのです。
この街は危険だから逃げてくれと。
でもシドニーは、こう言う

危ない橋を渡っているあなたにとっては危険な街でしょう?

自分にとっては確かに厳しい街だけど、そうじゃない

ロンから手渡されたロレックスが、偽物だと気づかないぐらい、貴方は富裕層にほど遠い。

ロンが、ジョーやディーンに、中身がクウォーツの偽物のロレックスを手渡したのには意味があった。

偽物のロレックスは、お前たち自身だ

アルマーニのスーツや豪邸を手に入れようとも、お前たちの存在は偽物のロレックスと同じ。

そしてロンが、何故ジョーとビジネスを組みたかったのに、ディーンを毛嫌いしていたのか。

その理由も出てくるのです。

ロンとディーンは、違う取調室で、取り調べを受けるのですが

自分がやった殺しも、金融詐欺もみんなジョーがやったんだ

…って言うんですよ(汗)

それも泣き脅しつき

オレって、メッチャいい人だから、止めたんだけどね~

ジョーも、ホントは悪い人じゃないんだよ~

そんなハズじゃなかったんだよ~

…ってさぁ…

何いい人ぶってんの(激怒)お前???

このシーン、ムカついたわ

ディーンの高校生からのあだ名は『Mean Dean(腹黒ディーン)』なんすが

腹黒と信じていなかったのは、ジョーだけだったんすよ。

だからディーンからしてみれば、最初から騙す+一緒にビジネスを組んで儲けようとするターゲットだったワケで。

ディーンのガールフレンド・ビセットは『あ~ら、腹黒ディーン?何しに来たのさ?』と最初からシラ~っとした目で見て
ディーンがお縄になる直前には、彼の前から消えていなくなってる(爆)

ホラ、居るじゃないですか

表向きは、周りに良い人に見られてるけど、裏でホントの事知ってる人からは、悪いのこいつだろ?って思われている人qqqq

それがディーンなんすよね。

泣き脅しや、一見罪のない+害のない人に見せるの、そんなに巧くても自慢にならないよ、と長い付き合いの人にバレちゃうという。

映画のエンディングは、FBIの証人となり罪を逃れ、苦虫つぶした様な顔で取調室から出てくるディーンと、信じられないという面持で出てくるジョーがすれ違う所で終わります。

ジョーは終身刑なんですよね。

周りの人間は、彼だけが悪いというのは判っていて、父親が最後まで面会に来ていたのも知っているけれど、言ってみれば犠牲者だったかもしれません。

この映画、作るのに7年ぐらいかかったらしく。

関係者の証言をまとめるのに一苦労したそうです。

20代の売れっ子俳優ばかり集まった作品ですが、BBCBBCのメンバーは、この映画のキャスティングが決まった後に、売れたというのですから、 ある意味時代の流れに乗ったのではないでしょうか。

映画のエンディングで、取調室から出てくる2人の映像と、高校の卒業式の2人映像がクロスオーバーになって流れるんですよ。

高校の卒業の時は、同じスタート地点に居たはずなのに、お金と罪が絡んだ事で、どうしようもなくなる。

ジョーに、お金では買えない人間性の大切さを教えたのは父ライアンなのですが、結果としてジョーが終身刑になるのはなぁ、と思った映画でした。

TV版がコレなんですが(ダサい)



ジョーを演じたジャド・ネルソンは、今回ジョーの父親ライアン役ですね。