アマヤドリ -378ページ目

銀のあけぼの

初日の出を見た。

6時半前に着替えてマフラーと手袋で完全防備し東南の畑の前に立つ。

もう陽は出ている時間だけれど地平線に灰紫の厚い雲の帯があってまだ太陽は顔をださない。
雪に覆われていつもより広く見える畑。青白い光が空まで届いているみたい。

白い息を吐きながら日の出を待つ。
北の雲は本当はもうとっくに出ている太陽の光を遠く浴びて薄紅色に染まっている。
宇宙まで透けて見えるんじゃないかと思うくらい空は透明。

やがて厚い雲の稜線の向こうがオレンジ色に燃える。タバコのフィルタが燃えるみたいにほんの端っこだけがちりちりと。
繊細だけど強い光に目を細める。

同時に畑の雪から靄がたちはじめる。地面のごく低いところに靄はたまって地表を覆う。遠くからでもふっと息を吹き掛けたら動きそうだ。


山は焼け、もう見ていられないくらいになってやっとお陽さまが顔をだした。目を伏せると靄が流れながら桃色に光っているのが見える。
屋根の雪はきらきら光っている。どんどん青さを増す空。光を受けて橙色に輝く雲。

何もかも見たくて、覚えておきたくて息が詰まりそうだった。

雪雲の下で

雪が降り続く。
少しずつたまったり積もってゆくものが好きな私はいつまでもこれがつづけばいいと思う。

真っ白の空を見上げると雪は灰のように黒く浮かんでいる。
街の景色を背景にして白く舞う。
とても綺麗。

分厚い雪雲と積雪に挟まれて街はしんと息をひそめている。

ずっと雪が降り続くといいのに。

死の報せ

母が部屋に訪ねてくる。私の大事な人の訃報を持ってきたんだと何故か薄々気付く。
大きな荷物は布団だ。あの人の遺品なのだと思って目を背ける。

その人(夫?のような設定)は大事な人なのだけれど喧嘩をしているか戦争に行っているか…とにかくもう二人で幸せになることはないと諦めていた感じ。だから死はそんなに大きなショックではないと思っていた。
母は包みから茶色い丸いものを取り出した。頭蓋骨だ。悲しさよりおぞましくてやっぱり私は目を瞑る。

顎の下に頭蓋骨が当てられた。
その途端…嫌悪感ではなくて言いようのない悲しみの渦に押し流されて私は嗚咽する。「いやだいやだ」とずっと目を閉じたまま首を振り続けた。
小さい骨になってしまったことが、もう会えないことがただただ悲しかった。

涙がでない。声も擦れてしかでない。
本当に悲しいとこんななんだ…と思った時起こされた。実際声を出して泣いていたみたいで目を開いた途端涙がたくさん流れた。

あの人は誰だったのかな。

エスメラルダ

今日は久しぶりに集中して自分の稽古ができた。

ここでは床をすって丁寧に体の芯を立て直す、とか右足は鼻のしたに着くとか、尾てい骨と踵をつなげるとか、左の肩甲骨で体重をつるとか。
ちょっとずつ自分の中で修正してそれを練り直し忘れてはまた言い聞かせて…そういう作業を果てしなく続ける。
自分なりの修正点を頭に置きながら、子供のように躾け込み、時には解放して。


まだ高校生になったばかりの子の踊りに今日はどきどきした。
いつのまにこんなにうまくなったのだろう。
もともと真っすぐ真面目な性格の出たすこんとぬけるような気持ちのよい踊りだったがすごく確かになった。
毎日の練習が見える。
どんなことに気を配ってきたのか、どんなに繰り返し回転したのか。
何を見てきたのか。

不思議だ。
知らないうちに涙がにじんでいた。
レッスン中に泣くなんておかしいから…素早く乾かしたけれど。
自分がなしえなかった姿があるから…という気持ちが少し。あとはすばらしい創造をみた時の胸の満ちた感じ。

私の踊りもきっと変わる。

浮き足立つ一日

昨日は酔っ払った彼を寝かしつけるので大変だった。何故あんなに騒がしく、あけっぴろげになれるのか。万年しらふの私には不思議で仕方がない。
ケーキを食べちゃおうかと思ったけどやっぱり半分とっておく。今日おそらくその半分をもらうだろう。

今日は仕事納め。
職場では先週の焼肉に引き続き餅つきをした。つきたてのお餅を食べたのは小学校の頃の地域のバザー以来じゃないだろうか。嬉しかった。
美味しかったので大きなお餅を2つも食べて、その後すぐにお弁当を綺麗にたいらげた。今更驚かないけれど本番に備えてそろそろ食が細くなってくれないと困る。

午後には今日になって細かい仕事が増えたみたいで上のひとはイライラしていた。可哀相に。
今日も明日も年末のリハーサルの入っている私は残業にならないよう、とばっちりをうけないよう必死に働いた。手に汗が止まらなかったくらいに。


そしてリハーサル。
まだ振付けを自分のものにできていない。
今日体にたたき込もう。