はぐるまの音
だいたいどうしてもっと先に、色んな問題を想定したシステムを作れないのだろう。間に合わせのものじゃなくて全て考えた上での完成形をくれないと意味がない。もう運用しているのだからデータが確定されなくては困るじゃないか。
努力はわかる。難しい要求をしてるのも重々承知。でも説明はいらないんだ。こちらはプログラムのことなんて素人なんだから。
開発と現場との温度差はやっぱりあるなぁ。
まぁ担当さんがまぁるい人なのでよかった。
明朝までの仕事はたくさんあったのに何も手をつけずに帰社。
眠い。
今日は朝から躰がぽかぽか、何だか眠たかった。
気温があたたかいせいもあるかもしれないけれど。日差しは少し夏の匂いで、「今日は暑いね」と言葉を交わす。
ビルに敷き詰められたタイルや仮囲いが白く眩しくて目を開けていられない。
それでも稽古に。
めずらしい時間に行ったからびっくりされる。
家に帰ったらすぐ眠ってしまいそう。
井戸に棲むもの
ぽつぽつと石を落とし、時には覗き込んだ拍子に涙を零し、さくらの花びらを一枚落とす。笑いかけ、怯えて蓋をし、青空が届くようにとまた空気を送り込む。
ある時は気配を殺して遠くまで歩き、振り返る。
全力で、それがダメなら星の光のように微かに。
絶えず耳を澄ましている。
いくらでも待とうと、縁に腰を掛けて空を眺めながら。雨に打たれながら。古いふるい井戸のその、欠けたヘリに指を滑らせながら。
このままここに、この鬱蒼と茂る草むらに絡め取られてしまうかもしれないとぼんやりと考えてみたりする。痛みもなく焦燥もない。諦観と遥か昔の夕暮れの交じりあったような。
いつかどんなかたちで、果たして誰のどんな時間に私の手を離れた想いは届くのだろう。その時その響きを私は聞き取ることができるのだろうか?この耳で、それとも伝わってくる震えを読み取るのは指だろうか。
耳を澄ませているうちに私はゆっくりとその時間を落ちてゆく。辿り着かないその深みを、柔らかな底の、湿った土を感じるまで。
此処にいてもどこにでも飛んでゆくことはできて、どんな端っこでも意識で触れることができる。
舞台を支配する感覚にも似た、皮膚が広がるような耳のうしろの感覚。
この井戸に底はない。
ないと想像するあいだは私はここにいる。
日曜の原っぱ
アンブロシアは大分成長した。
つのも2本になったし、カタツムリみたいにひだひだの足も生えた。
いっぱいしゃべるようになってきたし。
お友達も増えた!
volty7さん のところのだめぽクン
(今遊びに行ってみたら向うにもちゃんとアンブロシアがいました)と
キーヨさん のところのあちゃー♪ちゃん。
ありがとうございます。
一緒にはらっぱで寝そべって鼻ちょうちんを膨らましている姿は
ほほえましいですね。
自分で遠くに旅をして、お友達を見つけてきてくれたら良いのに。
そろそろ、社会になじむ事も覚えなくてはいけないよ、アンブロシア。
そういえば、私が会社の女の子と育てている芝生にお水をあげたりして可愛がっていたら、
上司が植物を持ってきてくれた。
そこらへんからちぎってきたり(いいのだろうか)、知り合いにもらったり。
植物が職場にあるとなんだか違う。
やっぱり、ちょっとずつ育っていく様子が楽しみだ。
はやく葉っぱが増えないかなあ。
雨粒のひとつすら私には語れない
土曜出勤は楽しい。
そんなにせっぱつまった仕事はないし電話も殆どない。忙しくない代わりに時間が進むのは遅いけれど。
お昼は可愛がってもらってる上司にラーメンをご馳走してもらう。にこにこ見てるからちょっと照れてしまう。昔より食べなくなったなぁと自分のことを思う。以前は私より食べる女の子をみたことがなかった。でも今は人並みだ。なんだか淋しい。
帰る時間になってどしゃぶりになった。
ちょっと雨を眺めながら様子を伺う。室内から見る雨が好きだ。たとえこれからこの雨の中を濡れながら帰らなくてはならないとしても。じわりと甘いものが胸にひろがる。
稲妻が光ってどきどきする。
今頃おばあちゃんは雷を恐がっているだろうか。私の大切な猫はお布団の奥深くに震えながら潜っているんじゃないだろうか。大丈夫だよ。あたたかなオデコを撫でながら言ってあげたい。恐くないよ。私が絶対に守ってあげるから。
土曜の夕方の霞ヶ関は誰もいない。静かな地下鉄の構内を歩くと、まるでもう使われなくなった地下壕にいるみたいな気持ちになる。
ぽつんと雨漏りがしてさらに地下に流れ込む。
気持ちを静かにさせるのは、やっぱり外からのできごとではない。
TRACKBACK
▼この日外でこの雨を体験したsirasuikababyさん
。風邪をひかないで下さいね。
コンティニュード
決意してもすぐそれが逃げてゆく。
きつくくちびるばかり噛むから、深く呼吸ができない。
ベッドに倒れこんで鼓動を感じる。微かに震える視界。
冷たい椅子に永遠に沈んでしまうんじゃないかと思う。
5時の鐘の音。『アンチノイズ』を読んだっけ。
遠くに見える道路の左車線。
この道を歩いても辿り着けはしないのに。
夜の中学校。
この視界のどこかに少しだけ声を聴く。
もう迎えにきてはくれない。もうきつく叱ってはくれない。もう。
うろうろと、私はうろうろ、迷ったみたいに歩く。
こんなの。
このかたまりも空を見上げれば吐き出せるよ。
だけどそれは無関心すぎて。
くらやみでも、待っていることができたのに。
- 辻 仁成
- アンチノイズ