アマヤドリ -282ページ目

大★大阪博覧会 in shibuya

今日は仕事の後、仕事先の人と渋谷東急でやっている大阪フェアに行ってきた。
台風が心配だったけど全然大丈夫でよかった。

催し物のフロアに着くとすごい人でびっくり。たくさん行列ができている。もう私は誘われるがまま、任せっぱなしできたからまるで事前の知識もなく、まるで想像していなかったその雰囲気に驚く。
でも楽しい。なんだかお祭りみたいなんだもの。

たこやきを買うのにも30分も並ぶ。それからお好み焼きを串に刺して揚げたものと、イカ焼きも食べる。イカ焼きはイカの丸焼きじゃなイカとお好み焼きの種みたいのを混ぜて卵と薄く焼いたもの。
似たようなものばかり食べちゃった。
それからcopineというところの焼きプリン。プリンというかこれはあのアメリのクレームブリュレだぁ、と嬉しくなった。ベッコウ飴みたいな堅さのカラメルは熱くてクリームはとろとろ冷たい。
おいしい。
あんまりおいしそうに私が食べていたら知らないお婆ちゃんに「それはプリンなの?チーズのお菓子?」と聞かれた。お婆ちゃんも買ったみたい。
思わずにこにこ。
それから甘栗ソフトクリームを食べた。
秋の味覚だ~!って、二重に嬉しくなる。

なんだか小さな幸せ。


今日はこのために早く仕事をこなそう!と頑張ったから(ズボンの裾上げまでしてあげた)、自分への嬉しいご褒美になった。

家族へのお土産はそのプリン屋さんのチーズケーキ。
もっと物産展ぽいのを買おうかなと迷ったんだけど(柘のくしとか、昆布とかあった)時間もあまりなく、ついつい自分の食べたいものに。
喜んでくれたらいいな。

断絶

椅子に片足を置き軽く手を添えて、少女はきらきら強く光る瞳でちいさなテーブルごしの相手に語った。

「そこにぶどうの木があるの。私の手をとったのは牧師かと思って、やっぱりちゃんと見上げてみたらそれはイエスだったのよ」

軽く曲がった指はきちんと爪が切りそろえられていて、まっすぐな黒髪は潤むみたいに頬を取り囲んでいる。
瞬きもしないその眼差しは熱意と、どこか諦めが入り交じっている。
時折その爪は薄いくちびるに立てられる。まるでちょっとずつ痛め付けるみたいに。


「そこにはね、イエスがくるの。私は牧師と話したんだけど確かにときどき現われるんだって」



向かい合うのは彼女のお母さんのようだった。
穏やかに煙を吐き出しながら彼女の瞳をうけとめる。
「母さんがよかったと思うのはね、そうして話してるあなたの表情が生き生きしてることなのよ」
少女は言う。
「おかしいとか言われるけど私はそのイエスについて行きたいと思ったの」

母は畳み掛けるように言う。
「いいんじゃないの、おかしいとかそんなんじゃなくてね、自分からそうやって何かを見ようとするのはいいことよね」
少女はいらだちながら言う。
「そうやって馬鹿にしたみたいなこと言わないでくれない。ぶとうの木があって、ヨルダンでイエスに会った時…」
「ばかにしてなんかないよ、いいことよね、きっとあなたが動きだしたことで…」
「あれは絶対イエスだった。そこにいるのよ、牧師だったんだけれど、はじめは」
「うん、そうね。そうして話すことで心がすっきりするのなら…」

少女は唇に立てた爪を噛む、そして顔をしかめて呟く。
「すっきりなんてする訳ないわよ。何を話しても通じないひと相手にしてすっきりなんてするわけない」





教えの前のドトールでのひととき、ひとつ向こう隣に座っていた女の子と母親との会話。


足元が、ぐらぐらするような気がした。

世界は親切なだけじゃない。
想いは必ずしも伝わらない。

でもそれが必ずしも不幸なわけでもない。
分かりあえなければ一緒にいられない、なんて、ひとはそんなに単純でもない。

だけどまるっきり背中を向けられて耳を塞がれてしまったら。
あたたかく包んでもちっともそのぬくみが伝わらなかったら。
そしてそんなこと、全然珍しいことじゃない。

その真摯なこころが誰にも拒絶されていると、少女は思っているのかもしれない。
「イエスは」という時の彼女の声は凛としていてまっすぐだった。


私の脳みそはゆれた。


わたしはテーブルに落ちたグラスの雫を丹念に拭って、
その場を後にした。




TRACKBACK

SONNETTEさん の日記にTB。

 このことばと、この少女の信じているものの間には、どのくらい距離があるんだろう。

 または、どのくらい近いのだろう。

 

スキマ

歯車みたいに噛み合わなくても、
わたしもせかいも動いてゆく。

あなたはそれをなんにも深く考えないでかんじてる
わたしとはまた別の、
理屈を通さないやりかたで。



いつもそばに影を添わせていてあげる

ただ
わたしのために

サルビアの午後

いい天気!
ちょっと蒸し暑い。台風が南の湿度を運んできているから。
それでもやっぱり秋なんだなぁという実感がある。空気のつぶつぶひとつひとつが離れてる感じ。音や色が、ちょっと高く薄く伝わる感じ。


なんでかわくわくしてる。
なんにもないのにな。
へんな私。
明日仕事がえりに大阪フェアに行くからかな。
いや違う。
なんだろ。

まぁいいや。
この気持ちをぴたりと言い当てなくてもいい。自由に漂わせておこう。



うわぁ。
電車で正面に座っている人目を開けて寝ている。恐い。
眼球は意志で映像をシャットアウトできるのかな。じゃないとこのひとの夢は二重映しみたいになっているんだろう。


そうか、今日は休日。どうりで人口密度が高いと思った。ああ、今日は教えの後にちょっと買い物へ行こうと思っていたのに…こんでいなければいいな。いや、逆に人に紛れられていいかもしれない。
こののんびり空気につられてしまいそう。

休日ということは子供たちのパパやおばあちゃんたちがくるんだ。
お客さんが多いと子供も張り切る。
可愛いな。
たっぷり踊らせてあげよう。

眠り姫

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母が「お人形に服を買ってきたの」と言う。
何の事かわからずに続きを待つと袋から小さな服を取り出した。
…ああ、あのこに着せるのか。うちにはこの洋服を着られそうな人形は一人しかいない。
「これ子供服なんだけど」
そう言われた途端に胸がぴりっとした。

たぶん全然そのつもりはないんだろうけど。
母だってもう孫がいてもおかしくない年だ。やわらかなその子供服を広げて大きいかな、と呟く。
キリキリみたいな、可笑しいような優しくてあったかいような。色んな感情が胸の中にむくむく膨らんでイッパイになった。

だって。
母の手がものすごく子供服を扱い慣れているんだもの。
そのいい匂いがするような優しい手つき。

そんなことにうまく表現できない原初みたいな感情が溢れて仕様がない。
お母さん、ってどうしてこんなにひとを理屈抜きの子供にしてしまうんだろうな。


母として当たり前の幸せを、まだちゃんと贈ってあげてない。心配させ放題。優しくもないし。好きなことばかりやってる。一緒に買い物やお洒落もしないし。
ごめんね。
でもそんな性分なの。
ごめんね。
いつか可愛い赤ちゃん産むからさ。


夜中に着せ替えて母を笑わせようと居間のマッサージ機に人形(名前:ジェニー)を座らせてきた。「ありがとう」の吹き出しつき。


ジェニーちゃんを抱っこして居間へ行く途中、お尻を支えて頭を肩へもたれかけさせたら妙な愛情が沸いてきた。
実は私、この子のことがずっと恐かったのだ。


一番自分をコントロールできなかった頃の最悪の二日間があって、その日の夢でジェニーちゃんに固く抱き締められて本当に恐かったから。夢から目覚めてもその次の夢から目覚めてもまだ夢、だったから頭がおかしくなりそうだった。
その記憶がこの子に結び付いていてずっと愛情を注げないでいたのだ。

そのジェニーちゃんに対するあったかい気持ち。

私はこんなに何年も経ってふいに、あの呪縛から解かれることができたのだ。



あの時私は結局2日間全く眠りから覚めることができなかった。夢を渡り歩いた果てに本当に覚醒できたのは真夜中。
高校生だったのに私は泣きながら両親の部屋へ行き一緒に寝てもらった。
ひとりじゃ気が狂いそうだったけれど、2日間も寝た後だったけれど、すうっと眠ったのをよく覚えている。


ことん、と私の肩にほっぺをのせる古いふるい人形が、閉ざされていたどこかをあたためてくれた。


いつのまにかいばらの森は枯れている。