おいのり/25.Feb
開いていないお店を外から眺めたり、川を見たりしながら歩いた。
雨がぱしぱし顔に当たるからうつむき気味。
私のほかにも街を歩いているひとはいて、やはり小さな手製のおもちゃや人形がたちならぶウィンドウを眺めていた。
その、可愛らしいお店のある並びの一角にぽつんと教会が立っていたので入ってみる。
中ではミサをやっていた。多分その日は日曜日だったんだろう。
小さな教会なのにぎゅうぎゅうづめで、みんな真剣に前を見ていた。
あまやどりと観光目的で入ってきた自分が恥ずかしくなったけれど、でもここですぐに抜けるのももったいない気がして、その空気の中にしばらくいることにした。クリスチャンじゃないけれど、なにかを祈ったりすることは私にもできる。
当たり前のことかもしれないけれど、みんな歌もお祈りの長い文句も、全部暗記していてぴったり声もそろっている。
お祈りの文句にはゆるやかにメロディがついていて、それは音符と音符の間の、全音階じゃないような微妙な音だった。
言葉も英語やドイツ語じゃないような…だけどそれはこういうメロディのなかで唱えられているからそう聞こえただけかもしれない。
ろうそくに火を灯し、私はしばらくそのメロディの中にいた。心地よいうねり。
神父さんは音痴じゃいけないな、こりゃ。
歌えるような気がして時々口を開くけれど、歌えるわけがない。
そのうちプラチナブロンドをベリーショートにした元気な感じの女の子が入ってきて、私の前のほうに陣取った。
なんとなくそのひとの荷物が旅人のように見えて、よかった、観光客もいるんだとほっとしていた。
ベビーカーの赤ちゃんがぐずったり、5歳くらいの男の子は遊びたくてたまらない様子だったり。
だけど不思議と静かで、温度の分からない熱のようなもので部屋中が包まれていた。
お祈りも佳境に入り、みんなひざまづく。
ふと前を見るとさっきのベリーショートの女の子も濡れた床に両膝を付いて、両手をかたく握り締めて頭を垂れている。いつまでも。
横にいるおじさんも、片膝をついてなにかをつぶやいている。
私は何を祈ればいいのかよくわからなかった。
家族が健康でありますように?世界が平和でありますように?もっとダンスがうまくなりますように?
どれもちょっと違う感じがして、そうだ、今一番こころに浮かんだことがいいや、と思う。
こんなふうに穏やかに知らない人と隣同士で、たぶん祈りの内容もまちまちで、でもこの空気のなかだからどこか共通したなにかをやさしい気持ちで祈れる、このことがあらゆる場所に生まれますように。
やがて神父さんが何かを言うと、教会の中のすべての人が近くの人とやさしく抱擁を交わしだした。
私はやっぱり躊躇して誰とも近付けなかったけれど、さっきのおじさんが私の目を見てあたたかく確信を持って頷いてくれた。私もほほ笑みを返す。
男の子が回ってきて私も少しその箱にお金を入れた。
外に出ると雨はやっぱり静かに降り続いていた。
エスニック
こんなに、涙がとまらなかったのはひさしぶり。
かなしくて、ではなくこころが震えての涙。
そうだ。
私は異文化のなかに入ったような気がしてた。
枠のない場所で暴れていた自分を、きちっとした箱にきゅっと収めることも覚えなきゃいけないと思っていた。
コンプレックスとかではなくて。なんでもできる踊り手になりたいわけでもなくて。それは私に欠けていて、欲しい部分だと思ったから。
でも私はつい自分の土壌に逃げ込んでしまった。そんなつもりはなくてもイメージが溶けてくれなかった。頑固ってそういうこと。もったいない頑固さ。
納得のいくものはどんどん吸い込みたい。私の大きな強みは、まだ可能性があるということ(悪く言えば、確固たるものがない、とも言えるけど。こころのなかと同じでびっくりしてしまう)だと思うから。
なのに、思っていたよりずっとしみ込ませることが難しくて、そんな自分が歯痒かった。
自由と思っていたもの、気持ち良く音に入ってたと感じていたこと、私が信じていたそれらはいったいなんだったんだろう?
どんなふうに踊りたいのか、何を素敵と思っているのか、そんなことも少しずつわからなくなっていった。
私は自分が思うほど、まわりが思うほど、器用じゃない。
小さいころはいつもかけっこもビリだった。お転婆だったけど、男まさりだったけど、木に登れるようになったのも勉強ができた(小学生のとき限定)のも早く走れるようになったのも、好きだから繰り返し、体が覚えるまでそれをやったからだ。
早く走れるんだよと自分をその気にさせて、その感覚を持ち続けていたからだ。
本当はとてもどんくさくて不器用。
今の私は自分が切り貼りしてきたイメージだけで成り立っているといっても言いすぎじゃない。
だから、イメージがわからなくなるととたんに崩れる。
自信を失ってはったりをかませなくなるととたんに見失う。
いつも自信まんまんになるまで動くしかない。からだが覚えてくれるまで繰り返すしかない。へとへとで倒れる寸前まで。そこでしか掴めない。
感覚と勘しか、頼れないのだもの。
『私には、積み上げてきたものがないから。』
そう、思ってたのかもしれない。心のどこかで。
いや、はっきり、思ってる。
だけど、そんなこと思う必要ないんだな。
今のこの私は誰とも比べられないし、積み上げてきたものがないわけないし。
勘と感覚とイメージが頼れるなんて、それは長所にもなるのかもしれない。
いや、ずっと長所だと思ってきた。それが、くよくよのせいでひっくり返っちゃっただけ。
重要じゃないと私が思ったらそれまで。私を認めるのは、最後には私しかいないんだから。
崩れてしまうようなこころなら、折れてしまえ。
でも折れたくないから悩んでる。あきらめたくないからもがいてる。好きだからさがしてる。
それで、いい。
わからないまま本番を、大好きな舞台を迎えることなんかできない、と思っていた。
自信がないのはだめだけど、信じてないのはだめだけど、でも私の一部が、舞台上で何かをさがしても、それもいいかもしれない。
私は生きてるんだから。
なまの私がそこにたってるんだから。
完璧であるはずはない。…というか…私の感じる美しいものが、今まで完璧なことなんかあったっけ?
ない。
私はいつも、癖があって陰があってはかなくて危ういものが好きなんじゃなかったっけ。
それでも信じて手を伸ばしてるものが好きなんじゃなかったっけ。
奇しくも、今回の舞台のテーマは異文化の発見。
“知っているようで思い込みをいっぱいしてる。”それってまさに自分自身のことだ!
なにがうまれるかわからないのが舞台。だからこんなにわくわくして大好きなんだった。
きちっと失敗なくこなそう、と思っていたんだな、いつのまにか。
こんなに素敵な仲間や先生と一緒なのに。そんな余計なことを恐がることなんかないのに。
目が曇りっぱなしだった。
あと2日で発見できるものは、見つけ尽くそう。
あとは本番に。
なんだか楽しみ。
メッセージ、ありがとう。
かなしくて、ではなくこころが震えての涙。
そうだ。
私は異文化のなかに入ったような気がしてた。
枠のない場所で暴れていた自分を、きちっとした箱にきゅっと収めることも覚えなきゃいけないと思っていた。
コンプレックスとかではなくて。なんでもできる踊り手になりたいわけでもなくて。それは私に欠けていて、欲しい部分だと思ったから。
でも私はつい自分の土壌に逃げ込んでしまった。そんなつもりはなくてもイメージが溶けてくれなかった。頑固ってそういうこと。もったいない頑固さ。
納得のいくものはどんどん吸い込みたい。私の大きな強みは、まだ可能性があるということ(悪く言えば、確固たるものがない、とも言えるけど。こころのなかと同じでびっくりしてしまう)だと思うから。
なのに、思っていたよりずっとしみ込ませることが難しくて、そんな自分が歯痒かった。
自由と思っていたもの、気持ち良く音に入ってたと感じていたこと、私が信じていたそれらはいったいなんだったんだろう?
どんなふうに踊りたいのか、何を素敵と思っているのか、そんなことも少しずつわからなくなっていった。
私は自分が思うほど、まわりが思うほど、器用じゃない。
小さいころはいつもかけっこもビリだった。お転婆だったけど、男まさりだったけど、木に登れるようになったのも勉強ができた(小学生のとき限定)のも早く走れるようになったのも、好きだから繰り返し、体が覚えるまでそれをやったからだ。
早く走れるんだよと自分をその気にさせて、その感覚を持ち続けていたからだ。
本当はとてもどんくさくて不器用。
今の私は自分が切り貼りしてきたイメージだけで成り立っているといっても言いすぎじゃない。
だから、イメージがわからなくなるととたんに崩れる。
自信を失ってはったりをかませなくなるととたんに見失う。
いつも自信まんまんになるまで動くしかない。からだが覚えてくれるまで繰り返すしかない。へとへとで倒れる寸前まで。そこでしか掴めない。
感覚と勘しか、頼れないのだもの。
『私には、積み上げてきたものがないから。』
そう、思ってたのかもしれない。心のどこかで。
いや、はっきり、思ってる。
だけど、そんなこと思う必要ないんだな。
今のこの私は誰とも比べられないし、積み上げてきたものがないわけないし。
勘と感覚とイメージが頼れるなんて、それは長所にもなるのかもしれない。
いや、ずっと長所だと思ってきた。それが、くよくよのせいでひっくり返っちゃっただけ。
重要じゃないと私が思ったらそれまで。私を認めるのは、最後には私しかいないんだから。
崩れてしまうようなこころなら、折れてしまえ。
でも折れたくないから悩んでる。あきらめたくないからもがいてる。好きだからさがしてる。
それで、いい。
わからないまま本番を、大好きな舞台を迎えることなんかできない、と思っていた。
自信がないのはだめだけど、信じてないのはだめだけど、でも私の一部が、舞台上で何かをさがしても、それもいいかもしれない。
私は生きてるんだから。
なまの私がそこにたってるんだから。
完璧であるはずはない。…というか…私の感じる美しいものが、今まで完璧なことなんかあったっけ?
ない。
私はいつも、癖があって陰があってはかなくて危ういものが好きなんじゃなかったっけ。
それでも信じて手を伸ばしてるものが好きなんじゃなかったっけ。
奇しくも、今回の舞台のテーマは異文化の発見。
“知っているようで思い込みをいっぱいしてる。”それってまさに自分自身のことだ!
なにがうまれるかわからないのが舞台。だからこんなにわくわくして大好きなんだった。
きちっと失敗なくこなそう、と思っていたんだな、いつのまにか。
こんなに素敵な仲間や先生と一緒なのに。そんな余計なことを恐がることなんかないのに。
目が曇りっぱなしだった。
あと2日で発見できるものは、見つけ尽くそう。
あとは本番に。
なんだか楽しみ。
メッセージ、ありがとう。
金色のひかりのなかに
すごいなー。
ほんの一通のメッセージがわたしを変える。
なんだか、情けなく、弱音をはいて色をうしなったわたしを、ぐんっとまたたかせる。
やっぱりなにも受け付けなくなっちゃだめだ。
変なところで閉じこもるなぁ。
素直に。
だめなことならなおさら。
頑固なんだから。もうそれは自分がよおく、わかってるんだから。
頑固なのは、好きだからだ。
好きなら、やわらかくなって、もっと気持ち良くできて、あふれたほうがいい。
好きだから、こわい。
ずっと近ごろはそういう気持ちだった。
どんどんみっともないわたしに気付いてしまう。
頑張ってもみっともないならかまわない。情けないのは、そうじゃないことを知ってるから。もっとやれるのに、それを選んでいないだけ。
そのくせ手が届かないかもしれないことが、こわい。
はずかしいなぁ。
そんなはずない、そんなくよくよしてないはず!と思っていたけれどじっと見つめてみればそういうこと。
なんて幼いせいしんだこと。
見なおそう。
あと3日。
はったりに近づけるように。
どうして踊りたいのか、もう 一度くっきり思い出せるはず。
ほんの一通のメッセージがわたしを変える。
なんだか、情けなく、弱音をはいて色をうしなったわたしを、ぐんっとまたたかせる。
やっぱりなにも受け付けなくなっちゃだめだ。
変なところで閉じこもるなぁ。
素直に。
だめなことならなおさら。
頑固なんだから。もうそれは自分がよおく、わかってるんだから。
頑固なのは、好きだからだ。
好きなら、やわらかくなって、もっと気持ち良くできて、あふれたほうがいい。
好きだから、こわい。
ずっと近ごろはそういう気持ちだった。
どんどんみっともないわたしに気付いてしまう。
頑張ってもみっともないならかまわない。情けないのは、そうじゃないことを知ってるから。もっとやれるのに、それを選んでいないだけ。
そのくせ手が届かないかもしれないことが、こわい。
はずかしいなぁ。
そんなはずない、そんなくよくよしてないはず!と思っていたけれどじっと見つめてみればそういうこと。
なんて幼いせいしんだこと。
見なおそう。
あと3日。
はったりに近づけるように。
どうして踊りたいのか、もう 一度くっきり思い出せるはず。
木精占い
木精占い
というものをやってみました。
私の木は、クリの樹、らしい。
以下、占いの結果。
↓
イガの割れたクリの実で、山道が埋め尽くされるころに生まれたあなた。
はつらつとして、神秘的な美しさを持っています。強い精神力を秘め、心に決めた目標には、最高の境地を極めるまで向かっていきます。
目標達成の途中で、それに関わる友人や知人に尽くすことも忘れません。
時には静かに引きこもり、目的を忘れたかに見えることもあります。しかしあなたは、クリの実がイガの中に隠れたまま大きくなるように、無言のうちに地固めをし、夢を実現していきます。
あなたには無理に他人に好かれようとか、感銘を与えたいという欲求はありません。愛する人や気の合う友人たちと楽しく過ごし、興味のそそられる仕事に熱中して生きたいと思っています。
あなたは自分に正直です。あなただけのかけがえのない人生を、無駄にしない聡明さがあるのです。
クリは「来たる時に備えて、魂と肉体を鍛えておきなさい」と教えます。チャンスの瞬間にすぐ飛び込めるように、逆境にもへこたれないように。
クリは、誠実に生きるあなたの人生を支え続けます。
だって。自分のことだと「?」だったけど、ほかのひとのことをなんとなーくやってみたらなるほどね、というものが多かったからよかったらやってみて☆
というものをやってみました。
私の木は、クリの樹、らしい。
以下、占いの結果。
↓
イガの割れたクリの実で、山道が埋め尽くされるころに生まれたあなた。
はつらつとして、神秘的な美しさを持っています。強い精神力を秘め、心に決めた目標には、最高の境地を極めるまで向かっていきます。
目標達成の途中で、それに関わる友人や知人に尽くすことも忘れません。
時には静かに引きこもり、目的を忘れたかに見えることもあります。しかしあなたは、クリの実がイガの中に隠れたまま大きくなるように、無言のうちに地固めをし、夢を実現していきます。
あなたには無理に他人に好かれようとか、感銘を与えたいという欲求はありません。愛する人や気の合う友人たちと楽しく過ごし、興味のそそられる仕事に熱中して生きたいと思っています。
あなたは自分に正直です。あなただけのかけがえのない人生を、無駄にしない聡明さがあるのです。
クリは「来たる時に備えて、魂と肉体を鍛えておきなさい」と教えます。チャンスの瞬間にすぐ飛び込めるように、逆境にもへこたれないように。
クリは、誠実に生きるあなたの人生を支え続けます。
●相性のいい樹木・・・モミ、カエデ、クルミ、クリ
だって。自分のことだと「?」だったけど、ほかのひとのことをなんとなーくやってみたらなるほどね、というものが多かったからよかったらやってみて☆
音楽隊のまち/25.Feb
大分寝てしまった罪悪感と、友達にもらったSMSのおかげで次の日は元気になる。でもちょっとの時差ぼけと、眠りすぎで頭痛がした。
ブレーメンはあいにくの雨だった。
そして土曜だか、日曜だかでお店がほとんど閉まっていた。
それでも観光客はいるものなんだ、と思う。
去年は傘をヨーロッパに持っていくのを忘れたけれど今年は確信して持ってゆかなかった。降るなら雪、と思っていたから。
だけど暖かくてちっとも雪は降らない。
かわいくない、フードのついたコートを持ってきてよかった。
あんまり雨が激しいから中央にある教会に入ろうとしたらおじさんに「ツヴァイ」と言われてしまう。
2ユーロなのか、2時からだよ、と言っているのかちょっと分からない。でもとにかく入ってみたいからマックに入って雨をしのぐことにする。
ブレーメンの音楽隊の銅像があちこちにある。
ちょっと頭痛がしていたのでときおり立ち止まって銅像に触れていた。
すると日本から急に電話。会社のお友達だった。うまく言葉が出てこない。だけど嬉しくてどんどんしゃべった。
「時差があるのに、会話が遅れないんだね!」ということに感動していた。
それは映像と音声が遅れるやつと勘違いしてるんだよ、と笑いつつも、私も去年そう思ったなあと思い出す。
名残惜しかったんだけどこの携帯は命綱だから、あまり長話もできない。
また、異国にひとり取り残される。
教会の目の前のマックへ。
いくつか席は空いているのにおばあちゃんが私の隣に座る。
しかも、なにも食べ物を買っていない。
4人席を一人で占領した私も悪いかもしれないけれど、でもがらがらなんだから他のテーブルに座ればいいのに。
なんだろなんだろ、と思っていたら近くのテーブルの女の人と突如話し出した。
ドイツ語だから何を言っているのか分からない。知り合いなの?でもそんな感じではないんだけど…わからない。そうだとしたら何故そっちのテーブルに行かないのか。
やっぱり他人だったようでそのうち女の人たちは帰ってしまった。
どうしよう。このおばあちゃん、私のポテトを狙っているんじゃないだろうか。
不安になりつつも、またこの話をあみにしたら笑うだろうなあ、おいしい、と思ったりもする。
10分くらいそのままだったかな。やがておばあちゃんの家族が来て、私を取り囲んだ。
何で??ほかにもテーブルあるのに。
おばあちゃんもおばさんもお姉さんも、とてもでっかい。腕とかもでかいから、テーブルがあっというまにいっぱいになる。
雨がやむまで外に出ることもできないし、テーブルを移動するのもなんだか変かな、と思いながら、日記帳に落書きばっかりしてた。

