青年海外協力隊でエジプトに行くすこし前。
派遣前の技術補完研修に羽仁カンタさんという人がゲスト講師で来ていた。
彼は日本が世界に誇る音楽フェス『フジロック』にゴミ分別のシステムを作った人。
(20年近くフジロックに携わっている)
100人以上のボランティアでやってるからおいでよって。
「めっちゃおもしろそー!行きたい行きたい!」と軽いノリで返事をした自分。
あれから3年。
ようやく約束を果たせた。
いいことも悪いことも。
環境について。組織や場づくりについて。
学ぶことが多かったのでその4日間の気づきをここにまとめる。
まず大まかに説明。
フジロックは3日間通しで行われる野外音楽フェスティバルである。
前夜祭も含め、3日間はボランティアとしてゴミ分別のナビゲート、
+フジロックが終わった翌朝、志願者のみ有償アルバイトとして清掃作業をする。
詳しくはこの活動を実施しているiPledgeのホームページをご覧いただこう。
特筆すべきは、『ゴミ分別のナビゲート』というその活動内容。
原則として、ボランティアの手ではゴミの分別をしない。
あくまでナビゲートに徹する。
これには、来場者に当事者意識を持ってほしいという意図がある。
分別をするのは来場者自身であり、僕らはゴミ箱の近くに立って分別の説明や誘導をする。
分別の表示看板もあるのに、そんなボランティア必要ある??って最初僕は思ってたけど。
誘導係がいるゴミ箱といないゴミ箱では明らかに結果が違う。
これはフジロックでおこなわれている分別がけっこー細かくてわかりづらいこととか。
(紙コップ・割りばし類・ラベルを剥がしたペットボトル・キャップ・それ以外の計5種類)
野外音楽フェスなので夜は表示板が見えにくいとか。
お酒を飲む人がいたり、天候が悪い時もあったり。
来場者の身になって考えてみても、いろんな理由があってまぁ分別は難しい。
夜当番の僕は、午前中は宿舎で寝て、午後は自由時間として音楽フェスを楽しみつつ。
夕方から朝まではゴミ帽子をかぶってゴミナビをするというスタイルで活動していた。
(帽子は個人的な趣味でかぶっている)

ゴミを捨てに来る人にはいろいろな人がいる。
あくまで僕の実感だけど、マナーが悪い人はあまり目にしなかった。
(そもそもゴミ箱まで持ってきてくれる人としか接しないからかもだけど)
いつもありがとうねって声をかけられたり。
きちんとラベルが剥がされた状態でペットボトルを持ってきてくれたり。
落ちているゴミを自主的に拾ってきてくれる来場者もいた。
20年前と比較しても、啓発という意味での効果はきちんと表れているようだ。
間違えた分別をする人も、こんな場所でそこまで細かく分別するとは想像していないだけなんだろう。
ペットボトルはラベルを剥がしてねって言うとまずはびっくりされる。
でも、びっくりしながらもきちんと理解してその場で剥がしてくれる。
文句を言われたりすることは全くない。
楽しいイベントを継続したいっていう思いはみんな同じなんだろうな。
こうして分別された『資源』は、翌年のフジロックで使われるゴミ袋やトイレットペーパーとして生まれ変わる。
なんという理想的な循環。
もちろん手間や費用もかかるのだろうけど、来場者への可視化って大切だ。
ここからは僕の個人的感想。
めちゃめちゃ楽しくて充実した4日間だった。
昼間は炎天下、夜は暴風雨でだいぶハードでもあったけど。
音楽フェスというだけあって、しんどい活動の中でも楽しい雰囲気づくりを重視する感じは僕の目指すビジョンにも近かった。
環境系イベントや地域のゴミ拾い活動ではなく、異分野の人たちに知ってもらえるという意味でもその啓発効果は大きい。
最後に。
この活動を支えているiPledgeには、一般ボランティアの他に、各ボランティアをまとめるリーダー役となる『コアスタッフ』と呼ばれる人たちがいる。
10代20代が中心なのだが、彼らの仕事ぶりがとても良かった。
こういう若者のおかげでボランティア活動が成り立っているんだな。
華やかなフジロックの裏側にはこんな背景がある。
普段見えない部分について知るのって大切だ。
↑嵐のなか最後までかんばってくれたゴミ帽子。
無事に天命を全うしました。
さようならありがとう。

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