先日、太地町の猟師たちは、33頭のイルカを追い込み、うち2頭を生体販売用に捕らえ、
10頭を殺し、海は血で真っ赤に染まりました。
そして、残りの21頭を海にリリースしました。
リリースする理由は、これ以上食肉にしても在庫を抱えるだけになってしまうとか、このまま行くと捕獲枠を超えてしまうとか、
後で追跡を行うためとか、調査をするためとかそういった理由です。
イルカ達のことを思って、とかそんな理由ではありません。
そして、このリリースの際に、とんでもない事態が起きました。
その事態を説明する前に、理解しておいてほしいのが、定置網のことです。
以前、漁業の問題を取り上げました。
その際にも紹介しましたが、漁業の問題の1つに「定置網による混獲」があります。
定置網とは、海のある場所に固定しておく網のことです。
魚が泳ぐ場所に設置しておくことで、そこに勝手に魚が入り、漁獲できるというわけです。
しかし、定置網に入ってくるのは魚だけではなく、他の魚介類や哺乳類も入ってきてしまい、絶滅危惧種が入ってくることも頻繁にあります。
ミンククジラ
ザトウクジラ
イルカ。
ウミガメ。
アカシュモクザメ。
海鳥
このように、対象とは別の種が漁獲されてしまうことを、混獲といいます。
ありとあらゆる動物が、定置網によって、大量に混獲され、犠牲になっています。
では本題ですが、9/20に、イルカたちはリリースされました。
リリースの際も、追い込み猟と同様に、バンガーをカンカンと叩き、海に大音量を流して、イルカに恐怖を与えながら、海に追い出していきます。
イルカは残念ながら、一旦追い込んでしまうと、勝手に逃げてくれないため、このように追い出しが必要になります。
もちろんこの際も、イルカたちには、多大なストレスになります。
そして、なんと・・・。
このリリースした21頭のうち、9頭のイルカが定置網に入ってしまったのです。
太地では、Cの位置にイルカ達を追い込むわけですが、Bの位置に定置網があります。
おそらく、追い出しの際に、このBの定置網に入ってしまったものと思われます。
子供2頭を含む9頭のイルカ達は、12頭と離れ離れになり、3日にわたり網に閉じ込められました。
そして、昨日。
LIAがドローンにより、撮影した映像。
イルカたちを数えてみてください。
8頭しかいないのがお分かりになると思います。
残念ながら、1頭は死んでしまいました。
猟師が1頭、イルカを食肉処理場に持っていった、という情報が入ったとのことです。
定置網には、魚が沢山いますので、食べ物には困らないはずです。
しかし、過度なストレスにより、食欲もなくなり、栄養不足、水分不足になり、徐々に弱って死んでいったものと思われます(イルカは、主に魚から水分を摂っています)。
9/19に、家族で泳いでいたところを、
突然、爆音を鳴らした船がやってきて、
恐怖とストレスの中、全力で逃げ、
体力を限界を迎えた頃に、太地の入り江に追い込まれ、
1晩放置され
9/20に、家族が目の前で捕まり、殺され、
海が血の色に染まり、
想像を絶する恐怖とストレスの中
また、追い出し作業のため、爆音を鳴らした船が再び迫ってきて
恐怖とストレスの中、全力で逃げ、
定置網に迷い込み
9/23まで放置され、死亡しました。
この子の一生は、ある日突然、人間によってめちゃくちゃになりました。
昨日は、抗議の電話が殺到したのか、太地の漁師たちは、定置網からイルカを出そうとしました。
しかし、網をはずしたものの、イルカは出ようとしません。
ロープと浮きがあるだけで、網はないので、向こう側にいけるのですが、理解ができないのか、イルカは出ようとしません。
そこで漁師たちは、船のエンジン音で恐怖を与え、ロープの向こう側に出そうとします。
すると、6頭がロープを渡ることに成功しました。
しかし、2頭は取り残されたままでした。
猟師たちは、さらにエンジン音を上げながら近寄り、さらに恐怖を与えます。
しかし、それでも出ていきません。
埒が明かないと感じたのか、ダイバーたちが海に行き、
3人がかりで残り2頭を追い出しました。
人間が迫ってくる間も、かなり怖かったことでしょう。
この間、なんと4時間・・・。
ともあれ、全頭が網から出られたわけですが、また問題が発生します。
先ほどの6頭がいないのです。
つまり8頭いたイルカは、6頭と2頭に離れ離れになってしまいました。
LIAのヤブキさんいわく、こうなると2頭はおそらく死んでしまう、とのことです。
イルカは群れで生きる生き物なので、1頭や2頭では生きられないそうです。
これが9/19に追い込まれたイルカたちの結末です。
33頭いたイルカの家族は、
2頭が生体販売用に捕らえられ、
10頭が殺され、
21頭は追い出しの際に、12頭と9頭に分かれてしまい
9頭は定置網に混獲され
1頭はそこで死亡し
残り8頭は、最終的に6頭と2頭に分かれてしまいました。
家族バラバラで、めちゃくちゃです。
この悲劇を引き起こしているのは、水族館に行く人たちです。
追い込み猟は、水族館にイルカを売るために行われます。
水族館が儲かる限り、水族館はイルカを購入します。
イルカが売れる限り、追い込み猟は続きます。
追い込み猟は、まだ5か月以上続きます。
水族館に行くのをやめない限り、イルカの悲劇はまだまだ続きます。
そして、定置網の混獲の問題を引き起こしているのは、魚を食べる人たちです。
漁業がある限り、混獲は必ず起こり、犠牲になるのは魚たちだけではなく、多くの海洋生物が犠牲になります。
魚介類も痛みを感じますし
死にたくないと思っています。
海にあるプラスチックゴミのおよそ50%が、漁業によるゴミです。
日本人は、マグロやウナギを食べますが、どちらも絶滅危惧種です。
漁師が捕らえた魚たちを雑に扱うなど日常的な光景であり、混獲した絶滅危惧種を乱暴に扱う漁師もいます。
今のペースで魚の消費を続けると、2048年には、魚が絶滅すると言われています。
漁業は、持続不可能であり、様々な問題を引き起こしています。
水族館に行くことをやめ、水産物の消費をやめましょう。
追い込み猟、イルカの真実を撮影しているのは、LIAです。
今回もドローンでの撮影がなければ、この問題は発覚しませんでした。
映像がなければ、この問題は広がっていきません。
このためにLIAは、太地に事務所を構え、毎日毎日、休みもなく、早朝から調査を行っています。
また映像は、最新の機材で鮮明に撮らなければ、一般人には伝わりません。
ドローンを使って撮影しなければならない場所も多々存在します。
事務所費に加え、機材は非常に高額で、LIAでは資金不足が続いています。
この問題を解決したいと思う人は、ぜひLIAを支援してください。
9/24 ブルーコーブデイ