この物語は、創作物語です。
登場人物は、実際の人物とは無関係です。
*白牡丹CODA創作シリーズで読者nori.sさんからリクエストがありましたので番外編を作ってみました(^^)
「あ~空気が美味しい!」
gē ge (がが)
「哥哥!」(兄さん)
そう言って
走り寄ってきた彼は
両手を広げた僕の胸に
思いっきり抱き着いた
ねえ今日はどこへ連れてってくれるの?
甘えた声で僕を見上げる
透き通るように白い肌
整った品のある顔立ち
そのつぶらな瞳で見つめられると
何でもしてあげたくなる
いつもあどけない君のその言動は
たとえ仕事で辛いことがあって
心に傷を受けたとしても
しっかり修復してくれる
まるで特効薬
だけど・・・
🌼 🌼 🌼 🌼 🌼
こんなこともあったな
「兄さん、これめちゃ美味しいから
食べてみてよ!」
「ん?これか?」
「どれどれ?」
「よ~く噛んで味わって!」
「ん・・」 もぐもぐ
「うわっ、辛っ」
「はははっ、騙された」
・・・またやられた・・・
「イェーイ兄さんったら
いつも疑わないんだよね♡」
「すぐに信じちゃうから
詐欺に騙されないように
注意しなきゃねー」
こんないたずらをしても
「そんな純情な兄さんが大好きだよ」
なーんて言われたら
すぐ許しちゃうよ
🌼 🌼 🌼 🌼 🌼
一緒に暮らし始めて知ったこと
彼は暗闇を怖がる
だから夜はいつも
一緒のベットだった
「兄さん、もう寝るの?」
「うん、おいで!」
僕の勝手な推測だけど
暗闇が怖いのは
自宅で両親といる時に
会話ができないから
不安になるのではないかと思う・・・
そう 彼はCODA(コーダ)だから
暗いと手話が読み取れないんだ
*CODA=耳の聞こえない親から生まれた耳の聞こえる子供
彼は僕の布団に潜り込むと
ぴったりとくっつき
僕の胸の上に置いた片手で
鼓動と体温を感じながら
眠りにつく
その体勢が一番安心できるらしい
僕は彼の頭を優しく撫でながら
じっと見守る
そして
穏やかな寝息を確かめてから
僕も眠りにつく
この子がいつまでも
笑顔でいられますようにと願いながら
まだあどけなさが残る
可愛らしいあのころから
君は随分大人になったね
「兄さん、
今度は僕が支えてあげるよ」
いかがでしたか?
幼い頃、自分を救ってくれた”兄さん”
大きくなった今
その恩返しに
心の支えになりたいと思う
彼の心の中に芽生えた感情とは・・・
ぜひ、また飛鳥の夢の世界へ
いらしてくださいね(*^-^*)
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