診療報酬改定で、項目によっては必須になっているらしいGLIM基準。
おそらく今後は、どこでもGLIM、されどGLIMと必須項目になっていくでしょう。
私の病院も今回のタイミングで考え始めるらしいので、ぼんやりじゃなく、ちゃんと分かんようにしないと。
ってことで、今日はGLIMな話です。
本記事は、筆者が独自で調べたものに加え、管理栄養士として働いた経験を併せたものです。出来る限り根拠のある情報を心がけていますが、筆者自身の誤解や知識不足により間違いがあるかもしれません。この記事を見てそのまま何かに活用したり、判断したりすることはオススメしません。
GLIM基準とは?
一言で言うなら「低栄養の診断」です。
低栄養はどんな人でもマイナスリスクなので、これをいかに早く診断し、介入することが大事になってきます。
いままでは世界共通の基準がなかったそうですが、世界の主要な栄養学会の方々が、統一した基準をおつくりになっていただいたようで…。(ありがたやーありがたやー)
そうやってできた低栄養診断がGLIM基準です。
やり方↓
(ワタクシの駄文を読みたくない方は、下記リンクにお飛びあれ。そっちの方が分かりやすいかと!)
GLIM基準
1.既存のツールで栄養スクリーニング
※妥当性のあるMUST、NRS2002、MNA-SFなど
低栄養のリスクがある場合、低栄養の診断を行う(次に進む)
2.2つの項目から診断
●表現型基準(フェノタイプ基準)
①意図しない体重減少があるか?
□>5%/6か月以内
□>10%/6か月以上
②BMIが低値であるか?
□<18.5、70歳未満
□<20、70歳以上
③筋肉量の減少がみられるか?
□筋肉量減少
※二重エネルギー吸収法、生体インピーダンス法、C、MRI等。これらが出来なければ、上腕周囲長・下腿周囲長を用いる
●病因基準(エチオロジー基準)
①食事摂取量減少/消化吸収能低下
□1週間以上、必要栄養量の50%以下の食事摂取量
□2週間以上、様々な程度の食事摂取量減少
□消化吸収に悪影響を及ぼす慢性的な消化管の異常
※消化器症状:嚥下障害、嘔気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛など)を考慮
※摂取量減少や吸収機能↓の程度は、症状の強さなどを注意。
※短腸症候群、膵機能不全、肥満手術後の消化吸収不全、食道狭窄、などの疾患にも関連する。
※吸収低下は、慢性の下痢または脂肪便などの結果として出現。
※ストーマ患者は、排便量の増加により判断、重症度の識別に脂肪便の頻度、期間、量を判断または細く診断として用いる。
②疾病負荷/炎症
□急性疾患や外傷による炎症
※重度の炎症は重篤な感染症、熱傷、外傷、頭部外傷に関連する可能性が高い。
※他の急性の疾患・障害は、軽~中等度の炎症と考えられる。
□慢性疾患による炎症
※重度炎症は一般に慢性疾患と関連しない。
※慢性又は再発性の軽~中等度の炎症は、悪性腫瘍・慢性閉塞性肺疾患・うっ血性心不全などの疾患と関連すると考えられる。
※軽度~一過性炎症は、病的基準に該当しない。
※CRP、Alb、プレAlbなどは、支持的指標として使用することが出来る。
表現型、病院型から両方1項目以上が該当した場合、「低栄養と判定」
重症度判定をする
3.重症度判定
★ステージ1(中等度低栄養)
①意図しない体重減少
□5~10%、過去6か月以内or>10~20%、過去6か月以上
②低BMI
□<20kg/M2(70歳未満)or<22kg/M2(70歳以上)
③筋肉量減少
□軽~中等度の筋肉量減少
★ステージ2(重等度低栄養)
①意図しない体重減少
□10%、過去6か月以内or>20%、過去6か月以上
②低BMI
□<18.5kg/M2(70歳未満)or<20kg/M2(70歳以上)
③筋肉量減少
□重度の筋肉量減少
GLIMみて思ったこと
この一連の作業をみて思うことは…
- 出来そうではあるけど…
- 血液検査ないんだな
- 筋力低下を重視してるんだなぁ
- 年齢ってやっぱ関係あるよなぁ
- これをサクッと効率よくできるかな?
1.出来そうではあるけど…
確認する項目自体はそんな難しくないですよね。
- スクリーニングツールは、例えばMNA-SFだと食事量が減少したかどうか?
- 過去3ヶ月の体重減少の有無
- 自力で歩けるかどうか
- 過去3ヶ月で精神的ストレスや急性疾患があったか
- 精神的な問題があるか
- BMI
これだけ。アセスメントも、スクリーニングをちょっと深ぼった位の内容。追加でやるとしたら筋肉量減少の確認ですが、下腿周囲でもいいらしいので、出来そうな気はしますね。
2. 血液検査ないんだな
低栄養の指標といえば、たんぱく質とかアルブミンとか、亜鉛だとか、コレステロールとか、なんか色々ありますけどね。
検査値は他の疾患によって上下するから、評価として組み込みにくいんでしょうかね?どうなんでしょうね?
3.筋力低下を重視してるんだなぁ
特徴的なのは、筋力減少の評価が入ってるとこなんじゃないんですかね?
計算上でエネルギー満たしてるように見えても、活動量によって全然足りない場合は結構ありますしね。
4.年齢ってやっぱ関係あるよなぁ
低体重のBMIは、70歳未満と70歳以上で分けられています。70歳で分ける理由は分かりませんが、高齢者は低いBMIの方が死亡率が高いとは言われてますし、そういう意味で設定をあげているんでしょうかね。
5.これをサクッと効率よくできるかな?
GLIMの趣旨としては、低栄養患者への早期介入だと思うんですよね。
だから、とりあえずやって、低栄養患者の抽出が出来るようにする。
すでに導入されてるところはそのままでいいんですが、これからだと、栄養士だけじゃなく他職種も協力が必要なところですからね。
そのあたり調整して、サクッとできるようにする。…新しくやるとしたら導入に時間がかかるし、馴染むのも時間かかりそうですね。笑
ただ、今後はおそらくGLIMは義務になってくでしょうから、早めにやっとかないとまずい所な気がします。
って感じです。
他の人はどう思うんでしょう?
もうGLIM使ってる所はどんな感じでしょう?
知っていたら教えて下さい。笑
まとめ
今回の話の要点としては
- 診療報酬で新たに出てきたやつで
- 低栄養の評価ツールで
- スクリーニングして、リスクある人に介入す
- 内容自体は難易度高くなさそうだけど
- 他職種で協力する内容だから調整が必要そう
- おそらく今後義務になってくだろうから
- 出来れば早めにやっとくのがよさそう
って感じでした。
参考文献
・リハビリテーション栄養ポケットガイド
(閲覧日:2024.4.7)