7冊目「バルス」楡周平 | 本と旅と日々の出来事

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大好きな読書やら、旅行やら、主婦の日々の出来事なんかを記していきます。時々百名城めぐり出てきます。



すっかり入れ込んでいる楡周平さん、今回は「ネット通販」「宅配便」「非正規労働者」の過剰依存に警鐘を鳴らす!1冊とあります。

いや~、耳が痛い。
ネット通販ヘビーuserの身としては。
本はほとんどネット通販購入だし、好きな作家さんの新作情報出たらポチッと予約、発売日にすぐ届けられる。
あと、お米に飲料にとあげ出したらきりがない。
本なんかポチッとしたら次の日届く。
そんな、送料無料に即日配送にと慣れきってしまって、利便性の裏側なんて深く考えてなかったですね。あたりまえに慣れきってしまってあたりまえのように受け入れる、怖いな。

最大手通販会社スロットの物流センターでバイトとして働く百瀬陽一。
名門大学4年で大手企業就職に拘るあまり就職浪人となりバイトとなるも、俺はあくまで繋ぎでやってるだけで他の派遣とは違うんだ、みたいな傲慢さが見え隠れ。
厳しいノルマの集配業務もゲーム感覚でテキパキ捌きトップの座を守り続ける陽一に、一見できないおじさん派遣の渡部が現実を突きつける。
大企業が存続し続けるのと、大企業に居続けられるってのとは違うんだ!
あちこち就活断られていらない人材はどこに行ってもいらないんだ!
格差社会は広がる一方で、非正規労働者は増えるばかり、時給千円の非正規労働者たちは雇い止めされたらたちまち干上がり、病気になったらそこまで、あとの面倒は誰がみるか、生活保護か。
と容赦なし。
そんなある日、東京から伸びる各高速道路上で同時に配送トラックが燃え上がる事故多発、高速道路は閉鎖、首都からの大動脈が遮断されたちまち配送荷物は滞る。
バルスと名乗る人物より犯行声明が届き、派遣労働者たちの雇用改善を求める。

利便性を求める消費者、競合性を生みとことん厳しくなる労働環境、時間給の非正規労働者をどんどん回し配送トラックも厳しいノルマ。
将来の約束などない非正規労働者たちは声を上げる。
会社は存続するけど、そこに自分が居続けられるかは別だとのくだりに納得、読み終わり、なんかうかうかしてられないなと焦るような、不安になるような考えさせられる内容でした。
ラストはそんな?そんなふうになる?