ダーウィン港の国際戦略
『【AFP=時事】中国の肖千駐オーストラリア大使は28日、オーストラリアが北部の戦略的な要衝ダーウィン港の管理権を中国企業から強制的に買い戻すなら、中国は自国企業の利益を守るために行動すると警告した。
中国企業「嵐橋集団(ランドブリッジ)」は2015年、北部準州との間でダーウィン港を99年間賃借する契約を結んだ。この契約は広く批判され、インフラ売却に対する監視体制が強化された。
アンソニー・アルバニージー首相は昨年、ダーウィン港の管理権を買い戻すと宣言し、この契約を経済面でも国家安全保障上面でも近視眼的だと批判した。
肖氏は28日、オーストラリアのメディアに対し、嵐橋集団が賃借契約を破棄せざるを得ない場合、「われわれには中国企業の利益を守るための措置を講じる義務がある。それがわれわれの立場だ」「中国政府の立場を反映し、中国企業の正当な利益を守るために、われわれが発言・行動すべき時が来たら分かるだろう」と述べた。
肖氏は、ダーウィン港の管理権奪還は、中国企業のダーウィン地域への投資、協力、貿易に影響を与える可能性があると警告。「オーストラリアの利益にもならない」と述べた。
アルバニージー氏は、オーストラリア政府は既に「外国勢力」へのダーウィン港売却に反対していることを明確にしていると述べた。
アルバニージー氏は28日、訪問先の東ティモールで記者団に対し、「われわれは、ダーウィン港がオーストラリアの手に取り戻すべく尽力している。それがわが国の国益にかなうからだ」と述べた。
ダーウィンはオーストラリアでアジアに最も近い位置にある要衝で、米海兵隊の基地として利用されてきた。 2015年の賃貸借契約締結当時、米国のバラク・オバマ大統領は、中国企業にダーウィン港を賃借させる計画について事前に知らされていなかったと不満を漏らしたとされる。【翻訳編集】 AFPBB News』
オーストラリアのダーウィン港を巡っての戦い。
2015年にオーストラリアが中国の会社に賃貸契約を結んでいた事実も驚きだが、恐らく今更になって中国の脅威を感じ始めたという事だろう。
一昔前の中国は貿易相手国として経済的結びつきから多くの国が、中国の戦略に載せられてきた。
中国は経済を前面に押し出し、広域経済圏構想「一帯一路」を目指し、古代の交易路の陸路(シルクロード経済帯)と海路(21世紀海上シルクロード)で現代的に再構築するものとして世界をリードしようとしていた。
高速鉄道、港湾、パイプライン等のインフラ整備を通じ、世界における中国の影響力強化を図ってきたのだ。
オーストラリアの他にもスリランカやパナマなどの例がある。
ただ、スリランカやパナマの例と大きく違う点が1つある。
スリランカはハンバントタ港を中国の高金利の資本で融資を受け、大失敗。
結果、中国に99年のリースと言う形で支配権を渡してしまった。
債務の罠にスリランカがハマったとも言われていたケースだが、いずれにしても中国としては海上の戦略的位置に支配権を持つ港を確保したことになる。
パナマは中南米で初めて中国の「一帯一路」構想に参加した国で、2016年に台湾との外交関係を断って中国と国交樹立。
中国は、パナマ運河の両岸に位置するコロン港とバルボア港などで、戦略的に重要な港湾の支配を目指していた。民間の会社を前面に出してね。
だけど、パナマ運河はアメリカからパナマに返却されたところだし、何より太平洋と大西洋を結ぶ大事なルート。
中南米はアメリカの裏庭だと自負しているアメリカにとっては米中対立の戦略的にも非常にまずい状況だった。
それでトランプ大統領がパナマ政府に圧力をかけ、中国のパナマ運河支配を阻止した。
今年に入って、パナマの最高裁判所は香港系複合企業CKハチソン(長江和記実業)がパナマ運河の両端に位置する港湾の運営契約を無効とする判決を下したので、まだ問題は残っているとはいえ、中国の影響力を一旦阻止したと言ってもいいだろう。
そこでオーストラリアだ。
最初は北部準州という準州政府が財政上の理由から中国企業に港を貸し出し、それを国(豪州連邦政府)が事後承認した形だ。
それをオーストラリア政府が今になって買い戻そうとしている。
理由は安全保障上の問題だ。
ただ、これはかなり複雑な問題を含んでいる。
1. 主権と契約の尊重 - 州が適法に契約したものを国が後から破棄する権限があるか?
2. 二国間条約との関係 - 中国との投資協定に抵触しないか?
3. 外国投資家の信頼 - 「事後に安全保障理由で契約破棄」というルール設定は、他の外国投資家の信頼を損なわないか?
4. 民主主義的正当性 - 複数の政府と防衛専門家の判断を、選挙前の政治的計算で覆す正当性は?
民主主義国家で上記の法的問題をクリアできるのだろうか。
個人的には中国がオーストラリアの港を管理するというのは安全保障上の問題も実際あるように思うんだけど、リースだから植民地のように全部売り渡したわけではないよね。
強力な監視網や経済以外の契約違反が見つかればオーストラリア政府はペナルティなどができるのではないかと思うんだけど。
いずれにしても、後々政府の面々が変われば問題なる可能性が高い港や空港など国家戦略の場となるようなところは外国の管理下にできないような法律の選定が先かな。
これは日本だって他人事ではないけどね。
画像編集で性的画像被害
『【ワシントン=中根圭一】X(旧ツイッター)に導入された生成AI(人工知能)「Grok(グロック)」による画像編集機能を悪用し、他人の画像を性的な画像に加工した投稿が相次いだ問題で、この機能が使われた11日間に世界で推計約300万枚の性的画像が作られたとの調査結果を米英の非営利団体「デジタルヘイト対策センター」が発表した。
約300万枚のうち約2万3300枚は、18歳未満の児童とみられる人物が写る画像だった。同団体は、グロックに画像編集の機能が追加された後の昨年12月29日から今年1月8日にかけて調査した。1分あたり約190枚の性的画像が世界で作られていた計算になるという。
この機能は1月9日に有料会員だけに限定され、14日にはさらに技術的な制限が加えられた。しかし、その後も投稿が削除されず、Xで公開されたままになっている性的画像も確認された。
他人の画像を水着姿や裸に近い姿に加工されたケースが相次ぎ、世界的に絶大な人気を誇る米シンガー・ソングライターのテイラー・スウィフトさんや、カマラ・ハリス前米副大統領ら著名人も被害に遭っていた。
グロックの画像編集機能を巡っては、性的な画像を本人の同意なく簡単に作成できるため、各国政府が問題視してきた。
インドネシアはグロックへのアクセスを一時的に遮断したほか、英国はオンライン安全法に基づく調査を開始したと発表した。
日本政府もXに対し、不適切な画像が出力されないよう改善を求めてきた。』
AIの発達で誰でも簡単にイラストなどの画像や動画が作成できるようになった。
これまでは画像編集にそれなりにスキルが必要であったが、2025年からはAI進化スピードが速く、誰でもできるようになった点が犯罪率アップに繋がっている。
GrokはXのAIツール。
MicrosoftはCopilot、GoogleはGeminiなどと同様にイーロンマスクのXはGrokを出している。
最近はAIツールも囲い込みが目立つ。
特にGoogleのGeminiが凄い。NotebooklmやGoogleカレンダーなど他のGoolge製品との連携が1つの大きな武器となっている。
そう言う意味でGrokはXとの連動がスムーズで、Xでの公開が続いているというニュースだ。
Xはツイッター買収時に物議を醸して、利用者がTreadsなどに逃げたとも言われたが、依然として大きな影響力を持っている。
ここで問題なのは、事実ではない画像でも一般の人には事実かAIか見分けがつかないということ。
AIの精度が上がれば上がるほど、ぱっと見わからない。
対象とされた人は堪らないね。
リベンジポルノのようなもの。
リベンジポルノとは、元交際相手や配偶者などが、相手を困らせたり復讐したりする目的で、本人の同意なく性的な写真や動画をインターネット上に公開したり、第三者に送りつけたりする行為。
非常に深刻なプライバシー侵害であり、日本では明確に法律で禁止されている犯罪である。
それが大きなダメージになるのは、デジタルタトゥー問題。
デジタルタトゥーっていうのは、一度インターネット上に流出した情報は完全に消去することが非常に難しく、被害が長期化・深刻化しやすい事を指す。
この記事でも「投稿が削除されず、Xで公開されたままになっている性的画像も確認」とあるこの現象である。
この問題は将来の社会問題の根源だと思う。
人間の脳は「理屈」より先に「視覚」へ反応するため、偽物と知っていても本能レベルでダマされてしまう。
最大の問題は、脳が「見た映像」を「事実」に近い記憶として処理してしまい、現実の画像とAIの画像との区別できなくなることだ。
周囲が後に嘘でAIの画像だとわかったとしても、脳はその画像を覚えている。
本能的な部分の話になるのかな?
その為、被害者の方は、実際には何もされていなくても、本当に被害に遭ったのと同じ深いトラウマを負ってしまうとも言われている。
何度も見せられたり、人から言われていると、実際にあったことではないかと本人も錯覚してしまうことってあるよね。
これは水面下で人の人生を壊す細菌兵器のように感じる。
しかもデジタルタトゥーとして、事実ではないことがいつまでもXなどの公の場でさらされ続けるという2次被害もかなり大きな問題だと思う。
やった加害者は軽い気持ちでやったかもしれないけど、実際は人の人生を壊す威力を秘めているということだ。
つまりAI動画は、脳の認識機能をハッキングし、直接心に傷を負わせる「凶器」になり得るということ。
各国政府が問題視してきたのはその為だ。
ただ、日本政府のように「Xに対し、不適切な画像が出力されないよう改善を求めてきた」と言うだけではほとんど意味がない。
Xは1月9日に有料会員だけに限定され、14日にはさらに技術的な制限が加えられても根本的解決になっていない事でも明らかだろう。
日本政府は他力本願ではなく、先ず自分達で出来る事から改善をしてほしい。
例えば、影響力の重大さを国民に周知徹底し、刑罰などの見直しを行い、そのような事を行った人物を許さないという社会的雰囲気を作るなど、AIフェイクが増えていく将来への対策を考えてもらいたいな。
『【ワシントン=中根圭一】X(旧ツイッター)に導入された生成AI(人工知能)「Grok(グロック)」による画像編集機能を悪用し、他人の画像を性的な画像に加工した投稿が相次いだ問題で、この機能が使われた11日間に世界で推計約300万枚の性的画像が作られたとの調査結果を米英の非営利団体「デジタルヘイト対策センター」が発表した。
約300万枚のうち約2万3300枚は、18歳未満の児童とみられる人物が写る画像だった。同団体は、グロックに画像編集の機能が追加された後の昨年12月29日から今年1月8日にかけて調査した。1分あたり約190枚の性的画像が世界で作られていた計算になるという。
この機能は1月9日に有料会員だけに限定され、14日にはさらに技術的な制限が加えられた。しかし、その後も投稿が削除されず、Xで公開されたままになっている性的画像も確認された。
他人の画像を水着姿や裸に近い姿に加工されたケースが相次ぎ、世界的に絶大な人気を誇る米シンガー・ソングライターのテイラー・スウィフトさんや、カマラ・ハリス前米副大統領ら著名人も被害に遭っていた。
グロックの画像編集機能を巡っては、性的な画像を本人の同意なく簡単に作成できるため、各国政府が問題視してきた。
インドネシアはグロックへのアクセスを一時的に遮断したほか、英国はオンライン安全法に基づく調査を開始したと発表した。
日本政府もXに対し、不適切な画像が出力されないよう改善を求めてきた。』
AIの発達で誰でも簡単にイラストなどの画像や動画が作成できるようになった。
これまでは画像編集にそれなりにスキルが必要であったが、2025年からはAI進化スピードが速く、誰でもできるようになった点が犯罪率アップに繋がっている。
GrokはXのAIツール。
MicrosoftはCopilot、GoogleはGeminiなどと同様にイーロンマスクのXはGrokを出している。
最近はAIツールも囲い込みが目立つ。
特にGoogleのGeminiが凄い。NotebooklmやGoogleカレンダーなど他のGoolge製品との連携が1つの大きな武器となっている。
そう言う意味でGrokはXとの連動がスムーズで、Xでの公開が続いているというニュースだ。
Xはツイッター買収時に物議を醸して、利用者がTreadsなどに逃げたとも言われたが、依然として大きな影響力を持っている。
ここで問題なのは、事実ではない画像でも一般の人には事実かAIか見分けがつかないということ。
AIの精度が上がれば上がるほど、ぱっと見わからない。
対象とされた人は堪らないね。
リベンジポルノのようなもの。
リベンジポルノとは、元交際相手や配偶者などが、相手を困らせたり復讐したりする目的で、本人の同意なく性的な写真や動画をインターネット上に公開したり、第三者に送りつけたりする行為。
非常に深刻なプライバシー侵害であり、日本では明確に法律で禁止されている犯罪である。
それが大きなダメージになるのは、デジタルタトゥー問題。
デジタルタトゥーっていうのは、一度インターネット上に流出した情報は完全に消去することが非常に難しく、被害が長期化・深刻化しやすい事を指す。
この記事でも「投稿が削除されず、Xで公開されたままになっている性的画像も確認」とあるこの現象である。
この問題は将来の社会問題の根源だと思う。
人間の脳は「理屈」より先に「視覚」へ反応するため、偽物と知っていても本能レベルでダマされてしまう。
最大の問題は、脳が「見た映像」を「事実」に近い記憶として処理してしまい、現実の画像とAIの画像との区別できなくなることだ。
周囲が後に嘘でAIの画像だとわかったとしても、脳はその画像を覚えている。
本能的な部分の話になるのかな?
その為、被害者の方は、実際には何もされていなくても、本当に被害に遭ったのと同じ深いトラウマを負ってしまうとも言われている。
何度も見せられたり、人から言われていると、実際にあったことではないかと本人も錯覚してしまうことってあるよね。
これは水面下で人の人生を壊す細菌兵器のように感じる。
しかもデジタルタトゥーとして、事実ではないことがいつまでもXなどの公の場でさらされ続けるという2次被害もかなり大きな問題だと思う。
やった加害者は軽い気持ちでやったかもしれないけど、実際は人の人生を壊す威力を秘めているということだ。
つまりAI動画は、脳の認識機能をハッキングし、直接心に傷を負わせる「凶器」になり得るということ。
各国政府が問題視してきたのはその為だ。
ただ、日本政府のように「Xに対し、不適切な画像が出力されないよう改善を求めてきた」と言うだけではほとんど意味がない。
Xは1月9日に有料会員だけに限定され、14日にはさらに技術的な制限が加えられても根本的解決になっていない事でも明らかだろう。
日本政府は他力本願ではなく、先ず自分達で出来る事から改善をしてほしい。
例えば、影響力の重大さを国民に周知徹底し、刑罰などの見直しを行い、そのような事を行った人物を許さないという社会的雰囲気を作るなど、AIフェイクが増えていく将来への対策を考えてもらいたいな。
アメリカの真の狙い
『あらゆるメディアから日々、洪水のように流れてくる経済関連ニュース。その背景にはどんな狙い、どんな事情があるのか?
『週刊プレイボーイ』で連載中の「経済ニュースのバックヤード」では、調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏が解説。得意のデータ収集・分析をもとに経済の今を解き明かす。今回は「ベネズエラ問題」について。
* * *
「えっ! そんな露骨なことするの?」
1月3日未明、米国軍はベネズエラ大統領宅を急襲。ニコラス・マドゥロ大統領と夫人を拘束した。
米国は麻薬テロ対策であるとし、国内法の執行を主張しているが、国際法違反は明確だ。しかし西側各国は微妙な反応を繰り返している。日本も立場的に米国の行動を批判できていない。
いっぽうで、私のようにサプライチェーンに関わっている方は、冒頭のような感想を抱いたに違いない。以降はあくまで特定の立場からの「陰謀論」として読んでほしい。
報道では、米国の動きには石油利権が絡んでいるとされる。
実際にドナルド・トランプ米国大統領はベネズエラ石油産業への米国企業の介入に乗り気のコメントを発している。
シェールオイルに沸く米国産の原油は軽質といわれる。逆にベネズエラ産原油は超重質で、価値が高いといわれる。特定の製品や潤滑油などの生産に欠かせないためだ。
さらに、ベネズエラは東側諸国に原油を密輸していたともいわれる。
ただ、頭をよぎるのは石油のことだけではない。
ベネズエラには莫大(ばくだい)なコルタン(鉱石の一種)が眠っているといわれる。
コルタンはレアメタルであるタンタルとニオブを豊富に含む。最先端のスマホからハイテク電子機器、武器類、エンジンまで不可欠な原材料となる。
現在はベネズエラからコロンビアを経て中国までの輸出ルートが完成している。また、電気自動車のバッテリー、半導体など多様な用途があるニッケルもおなじく莫大な埋蔵量を誇るとされる。
これらは米国の経済安全保障の問題に直結している。
米国にとってベネズエラルートのロジスティクスを開発する利点は大きい。
原油だけではなくレアメタルまでも、パナマ運河を使わずにすむ南北米間の最短サプライチェーンが完成するのだ。
これによって中国産レアメタルの影響力軽減も可能だし、ベネズエラから友好国ロシアへの輸出ルートを止めることもできる。一石三鳥というべきか。
さらに、ベネズエラは物流インフラが脆弱(ぜいじゃく)で、道路網や港湾の処理能力も低い。数時間で終わるはずの荷役作業に数日を要する。
ここに米国企業が介在すれば相当なビジネスを生む。土木建築だけでなく、物流システムやIT、トランプ政権が力を入れる造船事業も恩恵を受けるだろう。
鉱山開発やアルミニウム精錬に必要な電力も不足しており、事業介入の余地がある。
エネルギーマネジメントシステムは米国産業の柱の一つだ。
インフラ整備と技術導入、保守を通じて、長期的な収益獲得と市場拡大の可能性を秘めている。
もっとも日本だって恩恵を受ける可能性がある。
ベネズエラからの安定的なアルミニウムやニッケルの調達を拡充できるかもしれない。
原油であれ、他の鉱物であれ、トランプ政権が予想する1、2年ていどでは投資はペイしないはずだ。
老朽化したインフラの立て直し、現地人の教育、ビジネスモデルの再建。他国が投資して一朝一夕に成果を出すのは難しい。
それでも、単に麻薬犯罪人を拿捕(だほ)したかったのではなく、経済上の理由があったとする「陰謀論」には、サプライチェーン屋の私からすれば根拠がある。あくまで陰謀論ね。
捜査対象、麻薬。押収品、鉱物。』
正月に飛び込んだビックリニュース。
トランプ大統領がベネズエラの大統領であったマドゥロ氏を麻薬犯罪人として、拉致してアメリカに連れ去ったというニュースだ。
まさか一国の大統領を連れ去るなんてことが現実に起きるのか、と耳を疑った。
マドゥロ氏は3回目の大統領選で選挙違反をしていたと言われるベネズエラの独裁者だった。
マドゥロ氏の息がかかった選挙委員会は集計を発表せず、一方的にマドゥロ氏の勝利を発表した。
しかし、世界はそれを認めなかった。
マドゥロ氏を支持したのは反米派のロシア、中国、イラン、キューバなどだ。
それらの反米国にとって、ベネズエラの資源は大きな魅力的だっただろう。
マドゥロ氏は反米のチャベス元大統領の後を引き継ぎ、独裁色を高めてきた。
多くの国は反発し、ノーベル平和賞にベネズエラの野党指導者だったマリア・コリーナ・マチャド氏が選ばれた。
それは世界がベネズエラの独裁者マドゥロ氏にNoを突き付けたに等しい。
近年のベネズエラは悲惨だった。
資源豊かなはずのベネズエラ経済は破綻し、南米でも金満国から貧困国に転落し、多くのベネズエラ人が国を去った。実質的な難民を生んでいる。
トランプ大統領は民主化に興味があったからやったわけではないらしい。
アメリカファーストだからね。
ベネズエラの資源、特に石油に大きな興味を持っていると言われる。
実際、中国向けの石油をアメリカ向けにしたようだ。
しかし、私はそれは本質の一部だと思う。
アメリカの裏庭と言われるベネズエラからロシア、中国、イランなどの反米国の影響力を削ぎ、自由にベネズエラの資源を利用させないという国際戦略があったからだと見ている。
実際、マドゥロ氏の側近だったロドリゲス暫定大統領はベネズエラにおけるアメリカのエネルギー省の関与を認めた。
ここでもう1つ大きな成果を得ようとしている。
それはベネズエラには莫大(ばくだい)なコルタン(鉱石の一種)が眠っているといわれるニュースだ。
コルタンはレアメタルであるタンタルとニオブを豊富に含んでいるらしい。
これはレアアースで圧倒的シェアを誇る中国が政治的カードに使ってきて、忌々しく思っているアメリカにとっては大きな意味を持つ。
もちろん日本も同様だ。
中国は色々理由を付けて、そういうレアアースカードを政治的に使う国だ。
トランプ大統領は、どんなに国際的批判を受けても、ベネズエラを一旦反米国から解放したかったのだろう。
実際、国際的な情勢を考えると、アメリカの息がかかるベネズエラに変身させるべく、これからもドンドン手を打ってくるだろう。
中国やロシア、イランに武力行使もいとわないという無言の圧力も与えられたわけだし。
国際法的には決して認められない行為だが、アメリカの視点から見れば大きな成果だったと言えるだろうね。
『あらゆるメディアから日々、洪水のように流れてくる経済関連ニュース。その背景にはどんな狙い、どんな事情があるのか?
『週刊プレイボーイ』で連載中の「経済ニュースのバックヤード」では、調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏が解説。得意のデータ収集・分析をもとに経済の今を解き明かす。今回は「ベネズエラ問題」について。
* * *
「えっ! そんな露骨なことするの?」
1月3日未明、米国軍はベネズエラ大統領宅を急襲。ニコラス・マドゥロ大統領と夫人を拘束した。
米国は麻薬テロ対策であるとし、国内法の執行を主張しているが、国際法違反は明確だ。しかし西側各国は微妙な反応を繰り返している。日本も立場的に米国の行動を批判できていない。
いっぽうで、私のようにサプライチェーンに関わっている方は、冒頭のような感想を抱いたに違いない。以降はあくまで特定の立場からの「陰謀論」として読んでほしい。
報道では、米国の動きには石油利権が絡んでいるとされる。
実際にドナルド・トランプ米国大統領はベネズエラ石油産業への米国企業の介入に乗り気のコメントを発している。
シェールオイルに沸く米国産の原油は軽質といわれる。逆にベネズエラ産原油は超重質で、価値が高いといわれる。特定の製品や潤滑油などの生産に欠かせないためだ。
さらに、ベネズエラは東側諸国に原油を密輸していたともいわれる。
ただ、頭をよぎるのは石油のことだけではない。
ベネズエラには莫大(ばくだい)なコルタン(鉱石の一種)が眠っているといわれる。
コルタンはレアメタルであるタンタルとニオブを豊富に含む。最先端のスマホからハイテク電子機器、武器類、エンジンまで不可欠な原材料となる。
現在はベネズエラからコロンビアを経て中国までの輸出ルートが完成している。また、電気自動車のバッテリー、半導体など多様な用途があるニッケルもおなじく莫大な埋蔵量を誇るとされる。
これらは米国の経済安全保障の問題に直結している。
米国にとってベネズエラルートのロジスティクスを開発する利点は大きい。
原油だけではなくレアメタルまでも、パナマ運河を使わずにすむ南北米間の最短サプライチェーンが完成するのだ。
これによって中国産レアメタルの影響力軽減も可能だし、ベネズエラから友好国ロシアへの輸出ルートを止めることもできる。一石三鳥というべきか。
さらに、ベネズエラは物流インフラが脆弱(ぜいじゃく)で、道路網や港湾の処理能力も低い。数時間で終わるはずの荷役作業に数日を要する。
ここに米国企業が介在すれば相当なビジネスを生む。土木建築だけでなく、物流システムやIT、トランプ政権が力を入れる造船事業も恩恵を受けるだろう。
鉱山開発やアルミニウム精錬に必要な電力も不足しており、事業介入の余地がある。
エネルギーマネジメントシステムは米国産業の柱の一つだ。
インフラ整備と技術導入、保守を通じて、長期的な収益獲得と市場拡大の可能性を秘めている。
もっとも日本だって恩恵を受ける可能性がある。
ベネズエラからの安定的なアルミニウムやニッケルの調達を拡充できるかもしれない。
原油であれ、他の鉱物であれ、トランプ政権が予想する1、2年ていどでは投資はペイしないはずだ。
老朽化したインフラの立て直し、現地人の教育、ビジネスモデルの再建。他国が投資して一朝一夕に成果を出すのは難しい。
それでも、単に麻薬犯罪人を拿捕(だほ)したかったのではなく、経済上の理由があったとする「陰謀論」には、サプライチェーン屋の私からすれば根拠がある。あくまで陰謀論ね。
捜査対象、麻薬。押収品、鉱物。』
正月に飛び込んだビックリニュース。
トランプ大統領がベネズエラの大統領であったマドゥロ氏を麻薬犯罪人として、拉致してアメリカに連れ去ったというニュースだ。
まさか一国の大統領を連れ去るなんてことが現実に起きるのか、と耳を疑った。
マドゥロ氏は3回目の大統領選で選挙違反をしていたと言われるベネズエラの独裁者だった。
マドゥロ氏の息がかかった選挙委員会は集計を発表せず、一方的にマドゥロ氏の勝利を発表した。
しかし、世界はそれを認めなかった。
マドゥロ氏を支持したのは反米派のロシア、中国、イラン、キューバなどだ。
それらの反米国にとって、ベネズエラの資源は大きな魅力的だっただろう。
マドゥロ氏は反米のチャベス元大統領の後を引き継ぎ、独裁色を高めてきた。
多くの国は反発し、ノーベル平和賞にベネズエラの野党指導者だったマリア・コリーナ・マチャド氏が選ばれた。
それは世界がベネズエラの独裁者マドゥロ氏にNoを突き付けたに等しい。
近年のベネズエラは悲惨だった。
資源豊かなはずのベネズエラ経済は破綻し、南米でも金満国から貧困国に転落し、多くのベネズエラ人が国を去った。実質的な難民を生んでいる。
トランプ大統領は民主化に興味があったからやったわけではないらしい。
アメリカファーストだからね。
ベネズエラの資源、特に石油に大きな興味を持っていると言われる。
実際、中国向けの石油をアメリカ向けにしたようだ。
しかし、私はそれは本質の一部だと思う。
アメリカの裏庭と言われるベネズエラからロシア、中国、イランなどの反米国の影響力を削ぎ、自由にベネズエラの資源を利用させないという国際戦略があったからだと見ている。
実際、マドゥロ氏の側近だったロドリゲス暫定大統領はベネズエラにおけるアメリカのエネルギー省の関与を認めた。
ここでもう1つ大きな成果を得ようとしている。
それはベネズエラには莫大(ばくだい)なコルタン(鉱石の一種)が眠っているといわれるニュースだ。
コルタンはレアメタルであるタンタルとニオブを豊富に含んでいるらしい。
これはレアアースで圧倒的シェアを誇る中国が政治的カードに使ってきて、忌々しく思っているアメリカにとっては大きな意味を持つ。
もちろん日本も同様だ。
中国は色々理由を付けて、そういうレアアースカードを政治的に使う国だ。
トランプ大統領は、どんなに国際的批判を受けても、ベネズエラを一旦反米国から解放したかったのだろう。
実際、国際的な情勢を考えると、アメリカの息がかかるベネズエラに変身させるべく、これからもドンドン手を打ってくるだろう。
中国やロシア、イランに武力行使もいとわないという無言の圧力も与えられたわけだし。
国際法的には決して認められない行為だが、アメリカの視点から見れば大きな成果だったと言えるだろうね。