ヘゴの森を歩く | 小林千穂の「山でわくわく」

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山岳ライター小林千穂のブログです
登った山や、登山に関する情報などをお届けします

八丈富士と三原山(八丈島の東山)に
登った翌日、地元のガイドツアーに参加して
ヘゴの森を歩いてきました。

ここは島の特産である黄八丈を
生産している工房の私有地で
ガイドさんが一緒でないと入れません。

工房では、この森で
黄八丈の糸を染める原料となる
木や草をとっているそう。

参加費は1人2000円。
そのお金はヘゴの森を維持管理するために
使われています。


島の南側に集合し、
ガイドさんから八丈島の概要を聞いて出発。



入口から南国を思わせる植物が
出迎えてくれます。


これはモンステラといって
観葉植物として人気があり、
一時期島で多く栽培されていたそうです。

トウモロコシみたいな実がなり
食べることもできるんですって。


いろいろな植物の話を聞きながら
森のなかを進んでいくと
ヘゴがたくさん生えている場所にきました。


この背の高いものがヘゴです。

奥から恐竜が出てきそうですね。



ヘゴは木のようですが、シダ植物で
胞子を飛ばして増えるんですって。

このあたりは昔、焼畑農業が盛んで
一度、全部切られて段々畑にされ、
芋などが栽培されていたのですが
今はすっかり自然に戻っています。



島の南側は湧き水が豊富で
とくにこのあたりはきれいな水が湧くので
ヘゴがよく育つそう。


水たまりにはイモリがたくさんいました。



高さ5メートルぐらいでしょうか?
大きなヘゴを見上げながら進んでいきます。


高台に出ると
ヘゴの森を見下ろすことができました。

上から見ると、また違った雰囲気です。



ヘゴは若いときは鋭いトゲを持っています。

大きくなると
トゲはなくなるんですって。


これは枯れたヘゴ。

幹に「八」の字を逆さまにしたような
印があります。

これは八丈島で育ったから…

ではなく、
葉が取れた跡だそう。

胞子を飛ばした葉は役目を果たして落ち、
その上からまた新たな葉が出てきます。

上から見てみると…


幹のようになっている部分の中は
空洞になっています。

生きているときは水分豊富な白いものが
詰まっています。
ダイコンみたいにシャキシャキとした感じで
食用にもなるんですって。



さらに森の中を歩いていくと
小さなミカンが落ちていました。


木の上にはミカンがなっています。

これは畑だったときの名残で
栽培していたミカンが野生化したもの
とのこと。

食べていいというので味見してみたら
味は薄めだったけど、酸っぱくなくて
おいしかったです。



さらに奥へ行くと
丸く囲むように積まれた石垣がありした。

これは炭焼き窯の跡で
島のいたるところにあるそう。

八丈富士の火口内にも
炭焼き窯が作られたそうですよ。

島の人たちは限られた土地で
たくましく生きてきたのですね。


山の中には神さまが祀られています。

この奥にマザーツリーのような
モチノキがあって、
神さまの依どころとして大切にされています。

今でも年に一度、森の恵みに感謝する
神事が行われているそうです。


ちなみにこのあたりに生えている杉は
前後に植林することが推奨されて
植えられたもの。


残った杉の木は育ちながらも
ヘゴの森に飲み込まれつつあるように
思えました。


そうそう、今の時期
ヘゴの森では木いちごが
たくさん実をつけています。


おいしそうだなぁ〜と思って見ていたら
ガイドさんが食べてもいいというので
またまた味見をしてみました。



ルビーのように
透きとおったツブツブのイチゴ。

驚くほど甘くて、
今までに食べた木いちごで
いちばんおいしかった〜!



楽しいガイドツアーでした。