小林千穂の「山でわくわく」

小林千穂の「山でわくわく」

山岳ライター小林千穂のブログです
登った山や、登山に関する情報などをお届けします


テーマ:
宮田八郎さんの本
『穂高小屋番レスキュー日記』が
明日、発売されます。



ぜひ読んでください。


深刻なレスキューの話でありながら
生き生きとして、ユーモアあふれる文章。
現場での洞察、死生観。
ハチさんの鋭く、深い言葉に
ギュッと心をつかまれ
話に引き込まれます。



この本、順調にいっていれば
私が編集をさせてもらうはずでした。

話があったのは2014年。
萩原さんから
「宮田八郎さんの本、
編集をお願いできるかな」
と連絡をもらいました。

ハチさんの本を
やらせてもらえるって思ったら
もう、それはそれはうれしくて
ヤッタ!と、拳を握ったのを覚えています。


しばらくして
ハチさんから何本かの原稿が届き、
さらに心が踊りました。

おもしろい。
かっこいい。
そしてジンとくる。


著者の原稿を最初に読めるのが編集者です。
ハチさんからの原稿が届いた時ほど
その「編集者としての喜び」を
味わったことはありません。


その後、数回に分けて原稿を受け取りました。

だけど、もう一息というところで
ハチさんの原稿は突然ストップ。

ハチさんの周りで親しい人が亡くなり
人の生死に関わることが
書けなくなってしまったのです。


期日までに原稿を書いてもらうのも
編集者としての大事な仕事。
だけど、ハチさんのことがわかるから
私は原稿を一度も督促しませんでした。

ハチさんは時期が来たら
必ずまた書いてくれる。
だから、出版時期をずらしても
じっと待つのがいい(待つしかない)と
思っていたのです。


でも…
その時を前に
ハチさんは姿を消してしまった。




昨年秋、「遺稿集」として
出版することが決まったとき
私は目下、ほかの本で手一杯。

結局、編集者としての喜びを
味わわせてもらっただけで
何もお手伝いできませんでした。


それはすごく心残りだけど
完成本を手にとって
萩原さんが編集者でよかったと
心から思う。


ハチさんの「遺稿集」なんて
大きすぎて
私の手に余ります。


萩原さんだからできた本。


本を開くとハチさんの声が聞こえる。
いろいろな表情のハチさんが現れる。


とてもいい本です。


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