東日本大震災から10年、まだまだ人々には記憶が色濃く残っています。
その記憶を後世に伝えるために残されているのが『震災遺構』と呼ばれる地震や津波の被害を受けた建造物です。
震災遺構の1つ、宮城県東松島市にあるのがJR仙石線の旧野蒜駅です。
『東松島市震災復興伝承館』が現在の名称、ぱっと見た感じは列車がやってきそうな雰囲気です。
あの日、この駅には3.7mの津波が押し寄せました。
レールが途切れていること以外は地方の寂れた駅へ行けばこのくらいのところもありそうな気がします。
旧野蒜駅は1面2線ホーム、この区間は単線だったので行き違いを行うこともあったようです。
コンクリートが凸凹で少し歩きにくいです。
駅名標は少し曲がっていますが、結構原型を留めています。
随所に地震や津波で壊れたと思われる箇所がありますが、瓦礫や漂着物が撤去されているのでかなり綺麗な状態で保存されています。
周辺が公園として整備されているので、公園の一部として旧駅がそのまま残っているという感じでしょうか。
駅構内にあった券売機は泥もそのままに残されています。
海岸から700mも離れているのに3.7mの津波が来て、駅舎1階部分はすっかり浸水し、駅にいた人は2階へ逃げることで難を逃れたということです。
現在の野蒜駅は山側へ500m、海抜も20mほど上がった高台に移転しています。
なんとなく駅舎が似ているような気もしますが、駅舎は大体こんな形をしていることが多いのでたまたまです。
震災後、バス転換という実質的な廃線が多い中、仙石線は路線も高台へ移動するという珍しい方式で復活しています。
他のローカル線と違い、仙台と石巻間は都市間輸送が盛んであるため、まだまだ需要があるようです。
(三陸道を経由しつつ、仙台東部道路の仙台東ICから仙台市街までが割と遠い)
今は静かで穏やかな場所なのでわざわざ見に行く場所ではないかもしれませんが、見に行く機会があれば少し立ち寄って見ると良いと思います。