今日十五日はお釈迦さまの涅槃会です。
涅槃とは当時のインドの言葉でニルバーナと言い、薪などの火が燃え尽きた状態、煩悩の火が吹き消された安らぎの悟りの境地を言います。
御年八十歳で当時の中インド・クシナガラ城の近く沙羅双樹の下でお亡くなりになったとされています。
『法華経如来寿量品第十六』
為度衆生故 方便現涅槃 而実不滅度 常住此説法
衆生を度せんが為めの故に 方便もて涅槃を現ず 而も実には滅度せず 常に此に住して法を説く
涅槃という仏の入滅、それ自体が方便であり、人々を教え導くために仏がもちいる巧みな手だて、と説かれます。
依りどころの喪失。
私たちにとって心の依りどころとは、家族の愛情、友との友情、自身の健康、仕事での社会的地位や他者の評価、あるいは築き上げた財産あったりします。
そのような日常的な依りどころを亡失するという、個人にとってきわめて深刻な体験が、しばしば真の依りどころを求める機縁となります。
お釈迦さまは当時の人々にとって最上の依りどころ、その喪失は深い悲しみを懐かせ、渇仰の心を生ぜしめ、真の依りどころを求める求道の出発点となりました。
道を求め教えを学び、苦難を乗り越えて正しい人生を歩む人。
その人は、常に佛の言葉を聞き、佛の姿を拝し、常住する佛と共にあります。