コロナ対策のちょっとした情報提供 | 秋山のブログ

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またちょっと色々と読んでいるので、更新が遅れている。今回もまたコロナの話題である。

 

先日、地区の基幹病院のコロナ対策のための会議に参加してきた。国の方針を受けて、県がどのような計画を立てているか説明するものである。ここで公開してしまおう。

 

県は次なる波を見据えて、検査体制の強化と、病床及び宿泊療養施設の確保等の医療提供体制の整備、保健所の体制整備により拡大防止や疫学調査の強化等をおこなうとしている。

 

感染拡大の状況を、新規感染者数、クラスター数、感染経路不明事案数などの要素により、フェーズに分けて、体制が間に合うように準備をおこなう。実行再生産数1.7を基準として社会への協力要請をおこなう。状況によっては1.7ではなく、2.0も選択可能である。

 

話の目玉は、対象医療機関に対する補助金の話である。実際コロナに対する入院治療に関して、補助がつくが、その他にコロナが発生した場合の受け入れ準備として空きベッドを確保していると、それに対して空床確保料が支払われると言う。

 

財政均衡主義という有害無益な財務省の慣習を守るために、我慢しきれずに経済を動かすという愚行に関しては全く賛成できないが、経済を動かすことを前提に考えれば、この準備はそれ程おかしいことではない。ただ空床確保料で十分な対策かと言えば、そんなことはなりだろう。

多くの飲食店が大きく収入を減らしているように、ほとんど全ての医療機関が収入を減らしている。コロナを受け入れている医療機関だけではない。ある意味、不要不急の受診が今まであったということでもあろうが、そのくらいの需要に対する医療行為をおこなうという薄利多売の状況で、やっと黒字になるという価格設定なのである。財務省としては、医療費が自然に削減されて、よいことのように思っているかもしれない。今回の補助金もそのうちの一部を回したものだ。空床確保料はあればあったでよいが、それによって需要減等による減収の穴埋めは到底できない。新たな空床に見合うほどの確保料はもらえない。

補助の話が出る以前から、今回会議に参加している病院では、採算度外視でコロナに対して設備を整えるなどの準備をしてきた。今回会議に参加している医師は、経営にも関与する医師が多いものの、ほとんどが公立であり、臨床医であるために、病院の収入に関しての意識はあまり高くないからだ。しかしこれは例外と考えた方がよい。薄利多売に支えられてきた健康保険は、ただでさえ制度維持に関し危機的状況である。慈善的な事業は、短期的には有効かもしれないが、いずれ破綻することは必定だ。破綻し供給能力は失われれば、それを回復するために時間も労力も多大に必要とする。デフレという経済のおかしな状態によって、国民が享受できるはずのものができなくなることほど馬鹿らしいことはない。お金は資源ではないのである。富でもないのである。借り入れによって生じる経済の道具に過ぎない。お金を入れずに医療機関が多く破綻すれば、未来の人間はより高い価格で、より低い水準の医療を受けることになるだろう。政府が累積債務を増やしても、未来の人間に悪影響があるというのは、完全な勘違いである(限りある資源と勘違いしている)。つまりはお金を入れない理由はない。同時に、他の業種に関しても同じことが言える。観光業が現在、とんでもない苦境に陥っているからと言って、感染防御策を諦めて経済をまわすのは間違っている。お金を入れて観光業を維持すればいいだけなのだ。そしてこれは観光業だけのためだけではない。観光業に入れたお金は、まわりまわって他の産業、医療をも維持するために役に立つのである。

 

おかしなことは、藤井聡氏等のMMTを理解し、プライマリーバランスなどの無意味と断じているグループに、コロナを軽視し、経済を回すべきとする主張があることである。これではMMTまでもがキワモノのような印象を与えてしまうのではないかとすら思える。西田議員も立場上仕方ないのかもしれないが、GOTOtravelに擁護的な動画を出してもいる。

何ものも疑って調べる習慣は重要である。自分の場合、主流派経済学に疑問を持ち、ポストケインズやMMTに到ったのも疑問を持って調べ学んだからである。しかし同じようにMMTを理解している彼らが、今回のコロナに関しては、どうも突き詰めて学んでいるようには見えないのである。物理学を経済に単純に応用した拙いパターンをコロナでもやらかすなど、何だか大変残念である。そして同時に、医療や経済のような複雑な領域における正しいモデル作りのノウハウの重要性を考えずにはいられない。