今回は医療に関する話題である。
このブログにおいては政策に関して政治家に干渉するロビイストに対する批判をしばしば書いているが、医療の世界にも似たような構造がある。薬に関する情報提供として、医師は製薬会社のMR(医薬情報担当者)の訪問を受ける。もちろん、訪問する主たる目的は自社の製品を医師に使ってもらうことだ。患者の意志を尊重する時代になっても、薬の選択をするのは医師の役目である。患者にまかせれば危険であるだけでなく、大部分の費用が保険から支払われる保険診療においては、医師が裁定者を担う必要性もある。
バブル以前の日本においては、会社同士の付き合いに接待は当然のことであった。接待に関しては、様々な意見があるだろう。株主の利益を企業の唯一の目的と考えるならば、とんでもないことだ。しかし企業という存在が社会の構成員の厚生を目的に考えるならば、無い方がよいということにはならないだろう。嘗ておこなわれた交際費を不算入にする改悪は、労働層に分配されていた配分を減らすことと等価で、有効需要を落として景気にマイナスの影響を与えた。
医療に関しては、前述のように保険医には公務員的な要素があるので、接待は一般企業以上に適切ではない。しかしながら価格が固定価格の医薬品を医師につかってもらうために(基本的には価格競争もしたくない)、企業が抜け穴を探してでも医師を接待したいと考えても不思議はない。結局、情報提供という建前の下で、様々な接待は今も残っている。この辺りはグレイなところだ。
最近話題になっているのは、ノベルティグッズの禁止である。以前から、情報提供の際に手土産として、薬の名前の入ったティッシュだったり、カレンダーだったり、ボールペンだったり、様々な小物が配られていた。それが来年から全面禁止になるのである。疑問に思ったので調べてみたところ、事情が説明されているページが見つかった。情報に感謝したい。
重要な部分を抜き出す。
- IFPMAが禁止を打ち出す。
- IFPMAの理事長であるCueni理事長の主張。「企業と医療関係者の間に存在しなければならない大切なプロフェッショナリズムに基づいた関係を矮小化するような間違ったメッセージを送ることになる」とのこと。
- 日本の製薬協も追随。