バブル崩壊 | 秋山のブログ

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バブル崩壊を理解するためには、銀行の自己資本比率について理解する必要がある。銀行がその総融資額に対して、より多くの資産を持っていれば何かあった時に破綻しづらくなる。だから自己資本比率が高い方がよいというのが、BIS(国際決済銀行)の言い分だ。なかなかもっともらしいが、実際にはこれは正しい考えとは言えない。どこまで調査して、どこまでリスクをを取って、どのような案件に融資するかで、リスクは全く違ってくる。条件の違いを考慮しないこのやり方は幼稚だ。サブプライプローンのような馬鹿げた融資が大量に行なわれたのであれば、比率を高くしておいてもダメであろうし(実際リーマン・ショックを全く防ぐことはできなかった)、例えば終戦直後の日銀からの借り入れを利用した融資は大変比率が低かったはずだが、銀行の破綻はBISがおかしなこと、1990年にバーゼルI規制を打ち出すまでは破綻などなかったのだ。そもそも何故8%なのか、科学的な根拠は存在しないだろう。

バブル時代は、日本の国民はその能力を最大限に活かすことができた。それが出来たのは、あまり搾取されずに働いた分がそのまま収入になったからである。円高であったことも味方して、一人あたりの生産性は世界最高となった。しかしもし大きな搾取が行なわれていたとすれば、どうなったであろうか。収入額が減るので、その分生産性は低いことになる(現在の日本の生産性が低いことを指摘し、もっと働けなどという愚かな評論家もいるが、問題なのは労働の対価である。価格は尺度として正確であるという誤解がそこにある)。さらには収入不足は需要不足を生み、最大限生産することもできなくなるはずである。そして国の購買力の総計はその国の力であるから、搾取がおこなわれ最大限に発揮されず、また日本から雇用も奪われていた当時の米国では勝負にならず、不動産が買い漁られたりしたのもその是非は別として自然なことであろう。

グローバル規模の資本家にとって、バブル崩壊以前に日本でおこなわれていたことは好ましくないことだ。彼らは自分の持っている金融資本以外に資本が生まれることを嫌う。金融資本は、借金の裏返し以外の何物でもなく、彼らの持っている金融資本も出自は誰かの借金であるが、日本のように中央銀行の貸し出しや信用創造による循環で金融資本が生まれてきてしまうと、彼らの資本が利益を得る機会を失ってしまう。自己資本比率を上げろという話は言い換えれば、それを止めて彼らの資本を使うようにしろ(そして高い利息を払え、又は何もしないが大きい分前をよこせ)ということだ。

日本の銀行にとってバーゼルIに従うことには、既に述べたように全く価値はないが、担当者が理解力に欠けたか、日本国にとっての裏切り者だったのか、遵守するということになる(その反省からかバーゼルIIIの交渉では、金融庁の河野正道氏が獅子奮闘したとの話だ)。もちろん遵守しても方法がないわけではない。政府が日銀から金を借りるなどとして、新規発行株取得などで銀行に注入、盤石な状態にまで持っていけばよい。もちろん均衡主義というおかしな信仰を持つ財務省が反対するので、まさに破綻寸前の待ったなしの状況になるまでは注入はできないだろう。また、政府が銀行を統制することは経済に悪影響があるという散々喧伝されている嘘(現実のデータは真逆の結果が出ている)も、この正しい方策に待ったをかけるであろう。

とにかく守らなくてはいけなくなった自己資本比率のために、日本の銀行は新たな貸し出しができなくなった。さらには貸し出しを回収することも必要になっていった。このために今後必要になってくる事業に対しても、現在順調に回っている事業に対しても、資金の供給が滞る。資金の回収によって収入の減少、需要の縮小もおこり、景気は急降下した。さらに悪いことには、回収によって持っている土地などを売らざるを得ない企業も増え、地価の著しい低下もあり、その土地の担保価値の低下によって、さらに不良債権が増えるという悪循環もおこった。

土地を買うための融資に対する総量規制が、バブル崩壊に導いたという主張があるが、どちらかと言えば、その後の金利の引き上げの影響の方が大きいだろう。土地を担保に金を借りて、値上がり目当てで土地を買い、地価が上がるのは馬鹿げているし、融資が抑制されてもそれ以上地価が上がらないだけだからだ。バブル作りの融資は総量規制がなくても断られるべきであったし、モノを生産する事業に対する融資は、吟味されて行なわれるべきであるし、それを止めたのは自己資本比率であって、総量規制ではない。

最悪なのは、株式に対する空売りである。日本の銀行は当時大量の株を保有しており、株価が低下すれば、また自己資本比率も低下する。すなわち日本の銀行は身動きが取れなくなり、景気悪化、企業の業績低迷は必発だ。空売りした株は、後に安く買い戻し利益を得ることができるだろう。重ねて、そのようなことになれば、株は危険だとか、早く不良債権は処理すべきだという話にもなるだろう。そのようにエコノミストに発言させたり、そう主張する人物を政府に送り込むかもしれない。そうして日本人のさらに多くの富が、ハゲタカに掠め取られることになった。

 

バブル崩壊で学ぶべきことは、

自分を縛る条約等は、安易に受け入れるべきではないということ(TPPなどは全くどうかしている)。

融資は、実業に対しておこなうべきであり、その吟味が重要であるということ。

空売りに、経済に対してのよい作用は存在しないということ。

自己資本比率の制約は、間違った施策であること。

などだろう。