自由貿易と平和 | 秋山のブログ

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ニュース女子#137を見ていたら、飯田氏がまたしても新自由主義的な話のプロパガンダをおこなっていた。『自由貿易をやっている二国間ってなかなか戦争をしない』という話である。はたしてそれは本当なのだろうか。

 

相手国と取り引きのある企業は戦争に反対するだろう。しかし、その程度で戦争しそうな状況になっている国が戦争しなくなるはずはない。

相手国との分業が進めば戦争できなくなるなんて話もまるで説得力がない。例えば、日本が精密な部品の輸出を止めれば、中国は戦闘機を作れなくなるらしいが、中国が尖閣に攻め込むことに関して、経済はまるで抑止力になっていない。中国の日本への依存度は低くないが、日本と断交することになっても、取引できる国はいくらでもある。

そもそも他国に何かの生産分野で依存することがどれだけ危険であるかは、例に暇がない。韓国は、中国に少し意地悪されただけで、深刻な状況になって右往左往している。政治的な無理難題を全てのまされても、中国の要求はとどまることがない。こちらが門戸を開いて譲歩すれば、相手もしてくれると考えることは、国と国との関係では、国を滅ぼす間違った思想である。

飯田氏のだした、侵略するより自由貿易の方が儲かるなどという話は、全く話にならない。その根拠は日本の植民地が全て持ち出しだったことらしい。当然それは間違いであり、西洋諸国が好き放題におこなった収奪の方が圧倒的に多い。自由貿易などではそれほどの利益は得られない。ようするに日本の植民地政策は日本らしい行為であって、一般的な侵略ではなかっただけである。

 

同番組で須田氏が語った、TPPが中国包囲網であるという話は、TPP推進派が流すデマの一つである。軍事的な相互協力は、TPPの有無とは関係なくおこないうる。軍事的でない、経済的な侵略もそれによって防げるわけでもない。TPPによって、もともと縮小してきている関税を撤廃したところで、為替の影響と比べれば、雀の涙ほどのメリットしかない。中国の力に対抗できるような、強力な経済力を各国が持てるようになるはずもない。TPPは多国籍企業の利益、特に市場の失敗を利用したものを、各国が政策によって修正しようとすることを防ぐことが目的であって、そのような足枷をはめれば、逆に中国に対抗できなくなる。TPPで中国包囲網をするのであれば、ブロック化した後に、中国との経済の結びつきを大きく規制するならばやっと多少の効果があるだろうが、そんな極端なことをするのはありえない。

 

新自由主義者は、このように全く成立しない、当然エビデンスもない、自由貿易による戦争の抑止効果を主張している。嘘をつき、人々を騙す理由は、1%の資産家の利益のためである。重要なことは世界中の人々が、こういうプロパガンダに騙されない、確かな洞察力を養うことだろう。