改正高齢者雇用安定法 | 秋山のブログ

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NHKの深読みをみたら面白い話がされていた。『"65歳定年" どうなる!?雇用・働き方』である。

 

話の内容を要約すると

『「改正高年齢者雇用安定法」が来年4月に施行される』。

これは『企業は働きたいと希望する人全員を65歳まで雇わなくてはいけません』という内容である。

この改定の理由は、年金支給を先に伸ばすため。

ところが、定年を延長した人に対して、同じだけの給料は払えず、また肩書も失い、現場の混乱を招いている。

といった話である。

 

そしてこんなことになっているのは少子高齢化のせいだとか、百歳まで生きるのだから80歳まで働くのが当然などという単純な話がなされている。

 

以前書いたように、困った状況になっているのは少子高齢化のせいではない。人口あたりの労働者の割合の減少が大したことがない(老人の割り合いと比べるのは明らかに誤りである)のに、その減少以上に労働者が必要になるはずはない。

 

年功序列の賃金体系は、本来もらうべき給与を後に回したものであるから、60歳定年として設計した賃金システムをそのまま延長するのはもちろん不可能であるが、法律で決まったからと言って、安い非正規雇用として働かせることは、労働者を余らせることになって全ての労働者の賃金を低下させる。

すなわち、この改定は、またしても不況を悪化させる愚策の一つに他ならない。年金が足りないから、支払を延ばす。支払が延びたから、長い雇用を義務付けるといった、全く近視眼的な発想しかできない官僚ばかりなのが嘆かわしい。

 

年金が足りないのは、給与所得者の給与が足りないからである。

日本は非正規雇用というワークシェアリングによって見かけの失業率が低いが、本質的な失業率は決して低くない。だから賃金は上がらないし、労働分配率も低く抑えられる。

全ては、インフレを抑えることこそ善であり、失業は一時的な変動の結果に過ぎないので対応する必要はないという主流派経済学の嘘に則った政策の結果であり、少子高齢化は実質的な影響はない。単に今まで取ってきた政策が正しいとすれば、少子高齢化くらいしか原因が思い浮かばないという話に過ぎない。

 

生きがいのためにも、高齢者が働けることは悪いことではないが、本末転倒にならないように注意すべきである。労働力が余っている状況で、労働力を増やすことを考えるべきではない。