働き手が足りないなどという全くの嘘 | 秋山のブログ

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少し前食事をしながらテレビを見ていたら、外国人労働者についての話題をやっていた。そこで一番の問題は、日本は働き手が足りないという間違いが当然のことであるかのように語られていたことである。ということで、どうしてそれが間違いであるか、極力明確に説明してみようと思う。

 

まずこのグラフをご覧頂きたい。総務省のHPから拝借してきたグラフである。

これを見ると、高齢化率はどんどん上がっており、さらに上がることが予想される(それは正しい)。働けない老人の率が増えるのだから、今働いている人は余計に多く働かなくてはいけないのではと考える人もいるかもしれない。以前より一人の老人を支える人間が減るから、生活はどんどん苦しくなるなどというプロパガンダが財務省によってなされていもいるし、現在の苦境はそのためと勘違いしている人も少なく無いだろう。しかしそれは全くの誤りである。

グラフをもう一度見てみよう。全人口に対する生産年齢に注目すれば、その割合は大きく変わっておらず、今後もそれほど変わらないことが分かるだろう。それは、例えば食料で考えてみれば、生産者が一人あたり作らなければいけない食料はほとんど変わらないということになる。食料と衣料で考えてもそうだろう。食料と衣料と電化製品でもよい。食料と衣料と電化製品とサービスでも同じことだ。老人は医療に関しては多く消費するが、食品や衣料、教育などに関しては消費が少ない。高齢化にともない各産業の従事者の比率は変化すべきであろうが、労働力が大きく足りなくなることはありえないはずである。

 

このことはGDPギャップを考えても明らかだろう。国民の供給力は活かされておらず、需要より供給力の方が大きいのだ。どうして人が足りないなどという話になるのだろうか。(GDPギャップ自体は過小評価されているが、正当に評価すれば尚更言える)

 

経済の発達のモデルを理解すれば、このことはもっと明確になる。

大昔は人類は食料の生産でいっぱいいっぱいだった。しかし十分な食料を得られるようになって、他のモノの生産に何割かの人が移行していくことになる。胃袋には限界があるからだ。これは人口が増えたからそうなったのではない。一人当たりの生産量が増えるからそうなるのである。人口が増える分、必要な生産量も比例して増えるし、人口が減ればそれは減るのであるから、人口の増減で人手が足りなくなることは、ある程度以上の規模の国であれば、ありえないのだ。

 

それでは何故足りないなどという話がでてくるのだろうか。

 

建築業などは育成に時間がかかるにもかかわらず、不況と公共工事を減らしたことで職人が激減してしまって少し増えただけでも対応できなくなってしまった。余剰人員を持てない程の利益状況であったことも大きいだろう。

 

医療介護等は、前述のように高齢化が進んで需要が増加しているのだから人が移動していくのが本来のあり方である。しかしそれが進まないのは、社会保障費が抑制しなくてはいけないものであると決めつけられて抑制されているからである。経済の発達に関する今までの傾向見れば、移行先の方が収入がよい場合に速やかな移行が観察されている。特に介護部門はその労働内容に対して賃金が低く、人手不足にならない方がおかしい。

 

このように人口減少によって足りないのではなくて、育成の不手際や、移行の失敗によって足りなくなっているのであるが、短絡的にしばしば誤解されている。

とは言うものの、日本の失業率は比較的低い。最大限働いていると勘違いして、少しでも減るのは困るのではと考えてしまうかもしれない。

 

どうして失業率が高くないか説明すれば、同じような内容であるのに人手がかかるように変化が起ったということだ。

例を上げれば、以前なかったもので現在隆盛なのがコンビニエンスストアである。これに必要な人数を考えてみればよいだろう。週休2日9時から5時までのキオスクのような店に必要な店員数が1人だとすると、それが24時間年中無休なら4人以上の人間が必要になるだろう。

こんなことをしていれば、相当人口が増加しても、生産能力が拡大しても追いつかない。

 

賃金の上昇が見られないこと(平均年収は大きく減少の後、ほぼ横這い)も、求人難であるという話に矛盾する。結局買い手市場は続いているということだろう。デフレなので実質的な賃金は上昇しているという反論があるかもしれないが、それは間違いだ。一部の物価は僅かに下がっているが、公共料金や交通費、学費や医療の窓口負担、消費税等々、生活に必要なコストをトータルで見れば、大幅に上昇している。最近は求人難になったというより、少々マシになったと評価するのが正しいだろう。

 

多くの人が気付いていることであると思うが、外国人を入れたり、主婦や老人を駆り出したりすることを主張する人間の目的は、賃金を抑制して投資の配当を増やすことである(社会全体のことを考えず、自分が利益を上げられればいいということである)。建築現場の例や、介護現場の例を出して、いかに人が足りないか彼らは説明する。高齢化率を出してきて足りないなどという。しかしそんなものは今回説明した通り、全て誤りだ。そんな主張を見るやいなや、すかさず間違っていることを多くの国民が指摘するようになれば、そんな馬鹿なことを言って人を騙そうとする人間もいなくなるだろう。