そこまで分かってどうして気づかない? | 秋山のブログ

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「スタンフォード大学で一番人気の経済学入門マクロ編」から。

 

第11章はお金について書かれている。独立して取り上げているのはたいへんよい。お金に関する理解こそ、経済学の基礎たりうるものだからだ。逆に言えば、それがしっかりしていないから、様々な間違いが生まれるのである。

 

海に沈んだ巨大な貨幣の話は実に示唆に富む。現物がなくてもお金はお金になりうることを理解できるからだ。そしてこの本では、P139『お金に必要な3つの役割をはたすものがあれば』お金と言えると定義している。実際通貨として使えるためには他の条件もあるだろうが、『交換の手段』『価値の保存』『価値の尺度』という役割は正しく、お金を示すものとして悪くはない。ただ、お金の本質をつくのであれば、’流動性を持った借用書’という表現の方がより直接的で好ましいはずである。

 

そして信用創造に関しても書かれている。P147『融資が預金を生み、預金が融資を生み』だすときちんと理解している。これが何を意味するかといえば、お金が借り入れによって発生するものであるということだ。融資する際に、一部を留保しなくてはいけないルールがあるので、無限には増えないと勘違いしがちであるが、元の預金は銀行が中央銀行から無担保で融資されたお金が回ってきたものであったり、金塊と交換で国が渡したものが回ってきたものだったりで、その量に現代においては限度はない(金本位制の時は金塊の量が限度になっていた)。

 

不思議なのは、これを理解しているにも関わらず、恒等式における貯蓄、すなわち預金が借り入れを反映したものであるということに気付かないことである。