ステグリッツ教授はかく語りき(税金) | 秋山のブログ

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日本でも同様のことがおこなわれたが、特に酷い米国の税制改悪に関してかなりのページがさかれている。

まず、極めて基本的かつ重要なことから。
P314
『保守派はすべての税がゆがみをもたらすと示唆するが、それはまったく正しくない。』
考えてみれば当たり前のことであるが、ここは重要だろう。どの階層からどのように取るかという話が重要だろう。増減がそのまま消費の増減になりやすい低所得層への負担の大きい消費税などは最悪の部類だろう。逆に配当などの不労所得にかかる税は、あまり需要を減らさないだろう。

ゆがみをもたらさない税の種類。
P313
『経済学の基本原理では、賃料に課税するのはきわめて効率的だとされている。そのような税金はいかなるゆがみも生まないからだ。。。(中略)。。。今日では、賃料はさまざまな形をとりうることにわたしたちは気づいている。土地だけでなく、石油や天然ガス、鉱物、石炭のような。。(後略)』

米国はまさに最悪の政策をとった。
P179
『レーガン大統領は累進課税を緩和する―上層の税率を引き下げる―ことで、貯蓄と雇用が増え、結果として政府の資金調達量が増えると主張した。彼はまちがっており、実際の税収は激減した。ブッシュ大統領の減税策もうまくいかず』
消費量によって企業の生産すべき量は規定される。採算性のある事業であるならば、銀行から融資を受けられるし、その分は信用創造でお金を増やすので、上層の持っている貯蓄は関係がない。むしろ消費増なら関係もあろうが、上層には以前以上に消費を増やすモチベーションはないだろう。

法人税を下げるべきという意見にも反対である。
P325
『法人税を下げるべきだという主張はそれ以上に説得力に欠く』
『おそらく最も効果的な神話は、大富豪や企業の税金を上げると小規模事業者があおりを食らい、それゆえに雇用が失われるという主張だろう。。。(中略)。。。それでもオーナーは労働者を雇うことで大きな利益をあげられるだろう。これと相反する主張は、驚くべきことながら、初歩的経済学を無視している。増税前に利益をあげていた投資や雇用なら、増税後も必ず利益をあげるのだ。』
これは全く同じ事を以前指摘した。関連する別の方の分り易いページ(他の部分は若干問題あり)。

米国の愚行その2。キャピタルゲイン課税と相続税の減税。
P127
『所得の大部分をキャピタルゲインが占める大金持ちは、ほとんど”ただ乗り”に近い環境を享受できるようになったのだ。生活のために一生懸命働く人々の税率より、投資家、ましてや投機家の税率のほうが低いというのは、どう考えても筋が通らない。』
P251
『遺産税は”相続される不平等”の程度を制限するために―ほんのわずかでもスタートにおける差を小さくするために―設けられている。この税がほとんどの人々の利益にかなうことは、あきらかなはずだ。それでも、保守派は多数の人々を説得して、遺産税に反対させた。その人々の利益に反するのに。』
これは読めばその通りである。

最後に大原則。
『税金を追加で徴収する場合、ひとつの簡単な法則がある。お金のあるところへ行け、というものだ。』
日本と米国の違いを考えれば、米国は一部の個人が富を膨らましているのに対し、日本の場合は内部留保という実態のない投機家のようだ。(日本の経営者は米国程は給与をもらっているわけではない。しかし、このような内部留保に走る原因のひとつは、企業の安定に関して国や銀行が頼りにならないという事情があるかもしれない)