ステグリッツ教授はかく語りき(緊縮財政) | 秋山のブログ

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ステグリッツ教授は、緊縮財政の誤りについてかなりのページをさいている。(ところで蛇足だが、この項でも別のところでもステグリッツ教授は、神話という言葉を使っている。ここは直訳でなくて、迷信と意訳した方が意味は通じ易くなりそうだ)

P337
『歴史的に緊縮財政がうまくいったためしはほとんどなく、それが別段意外でないことは理論で説明がつく。不況は需要不足―需要全体が経済の生産能力よりも低いこと―によって引き起こされる。政府が需要を切り詰めると、需要はさらに低下し、必然的に失業率は高くなる。』

ここで『ほとんどなく』という言葉にひっかかる人もいるかもしれない。実際、緊縮財政支持者は回復を遂げた国を例にあげるらしい。これに関して、ステグリッツ教授は、きっちり説明している。
P388
『すべて小国で、好況下にある国と交易関係を持っていたことがわかる。それゆえ、輸出の増加が政府支出の減少をわけなく肩代わりしてくれたのだ。』
このようなカラクリをきっちり考察することが重要だろう。

P388
『緊縮財政が破滅的な結果におわった過去の多くの経験から学んでいるはずだ。ハーバート・フーヴァーの緊縮財政は一九二九年の株価暴落を大恐慌に転換し、IMFの緊縮財政は東アジアとラテンアメリカの景気の下降を不景気と恐慌へと転換した。』
この辺りはフリードマンも愚行であると指摘していたことである。

また、何故人々がこのような間違った考えにはしるのかも説明している。以前私が書いたものと一致しているが、うまい表現をしている。
P337
『国家予算は家庭の予算に似ている、という神話だ。。。(中略)。。。ひとつの家庭が収入以上に支出しても、マクロ経済を変えることはできないが、一国の政府にはそれができる.』

国会議員を含めて、世の中にはなんと家庭と国家を混同している人間が多いことか。