さわやかな一瞬 | みつはしちかこオフィシャルブログ「小さな恋のダイアリー」Powered by Ameba

あれはさわやかだった。
先日、友人の家を訪問する時に乗った電車内でのこと。私の目の前に座っていた青年が、電車に入ってきた70代くらいの男性に向かって、すいと立ち上がり「どうぞ」と席を譲った。「ボクは次の駅で降りますから」と、お年寄りは「どうも」と言いながら譲られた席にすいと座った。
ただそれだけの、当たり前といえば当たり前の光景だったのだが、譲る方と譲られる方のタイミングがごく自然で、何か上手な連携プレーのようで「ほう」と見とれてしまった。

青年は少し離れたところのつり革につかまり、読みかけの本を読みはじめ、お年寄りはリラックスして目を閉じて両手を組んで座っている。
次の駅で青年が降りてゆく時、お年寄りが少し腰を浮かせて「ありがとう」と言った。青年はちょっとふり返って「ども」と会釈して降りていった。

短い時間の流れの中で、このようにスムーズな言動をとれる青年は、きっと譲り慣れているのだろうな。
ほんのいっときの何気ないシーンだったのに、思いだす度にさわやかな気分になれる私である。