今日の授業にて。
誤字ではないのでしょう。本人は「ワシントン」と書いたつもりでしょうが,どう見ても「ワツントン」と読める珍解答がありました。「シ」と「ツ」は似て非なるもの。今回はその違いを見てみましょう。
- * - * - * - * - * - * - * - * - * - * - * - * - * -
正しい「シ」と「ツ」
・カタカナの「シ」と「ツ」は形がちょっと似ています。
特に手書きだと区別がつきにくいこともあります。小学生の字だと余計にそうかもしれません。
・ひらがなの「し」と「つ」は違いが明確です。「し」は縦向き,「つ」は横向きです。
「あ」と「ア」の形が全然違うように,「し」と「シ」の形も「つ」と「ツ」の形も違います。
・ところが,2つを重ねてみると,カタカナの点や払いの位置がひらがなと重なるようです。
「シ」を書くときは「し」を,「ツ」を書くときは「つ」をイメージして書くと,きれいに書けます。
←「シ」は点を縦に,「ツ」は点を横に並べます。
誤った「シ」と「ツ」
こんな「シ」「ツ」はありません。
「シ」のようで「ツ」のような,半分ずつ混ざっている文字です。
←これはダメ! (`・ω・´)
漢字における点の位置
カタカナだけでなく,漢字にも点を縦に並べるものと横に並べるものがあります。
縦横を間違えるだけで随分バランスが崩れてしまうので,注意しましょう。
《まとめ》
・3画目の書き方だけが違いではない!
「シ」…点は縦に並べて,3画目は左下から右上に払う
「ツ」…点は横に並べて,3画目は右上から左下に払う
・点の並べ方の違いは漢字にも見られる
縦に並べるもの…海,科,雨,寒,冬など
横に並べるもの…学,図,桜,挙,援など
- * - * - * - * - * - * - * - * - * - * - * - * - * -
「シ」と「ツ」は形がよく似ているため,バランスを崩すと,それがどちらなのか分かりにくくなってしまいます。「シーツ」や「ツツジ」のように,「シ」も「ツ」も両方含まれる言葉で練習するといいでしょう。
形が似ているカタカナは,「ソ」「ン」もそうですが,他にも「エ」「コ」「ユ」や「ク」「ケ」「ワ」などがあります。「シ」は「ミ」とも似ています。これらは,雑に書いたり汚かったりすると,読み間違えてしまう恐れがあります。字を丁寧に書くということは,読み間違えを防ぐということにも繋がるわけです。1文字1文字を丁寧に書く習慣を身につけましょう。
カタカナは小学1年生で習うくらいですから,どれも単純な形をしています。それだけに,小さいうちから誤って書く癖をつけてしまうと,大きくなっても間違った書き方がなかなか抜けません。漢字の筆順にも同様のことが言えます。字を覚える際には,よく注意される「止め」や「はね」や「払い」だけでなく,「点の位置」にも十分気を付けながら練習することが大切です。(余談ですが,不思議なことに,「シ」を横並びに書く子でも,さんずいは正しく書けるようです。)
今回はカタカナや漢字について触れていますが,数字(「0」「6」「9」,「1」「7」)やアルファベット(「a」「o」「u」,「h」「n」「r」,「I」「l」,あるいは大文字と小文字が同じ形で大きさだけが違うのもの)も,同様の注意が必要です。
カタカナは普段,外来語や擬音語を表す際に使います。また,学術的な場面では,種の名前は普通カタカナで表します(「犬」ではなく「イヌ」,「桜」ではなく「サクラ」)。
学年が進むと,特に社会や理科でそういったカタカナ用語が一気に増えます。アジア,ツンドラ,メスシリンダー,ミカヅキモ,カシオペアなど,数え上げればきりがありません。たとえ書き間違えでなくても,読み間違えられるような字はいけません。特に入学試験では,そういったところもシビアに見られます。「ワシントン」だと書いたつもりでも,それが「ワツントン」だと思われたら×にされてしまう学校があるのも,意外と知られていない事実です。
「たかがカタカナ。されどカタカナ」です。