今月発売の弦楽器専門雑誌、
「サラサーテ」に
「純正律と平均律」というテーマで
記事を執筆させていただきました
もしよろしければご一読ください。
ここでは、その記事の補足というか、
ちょっと裏話。
この「純正律と平均律」というテーマは
技術的な問題な解決するための色々な
考え方や、練習法をそうとう網羅している!と
自負している私でも
はっきりと「こうだ!」と言える分野ではなかったので
チェコ在住の日本人チェリストの親友、Kちゃんに
「純正律と平均律の違いと聞いて、何思い浮かべる?」と
ライン電話してみました。
(それで記事のチェロパートの話はKちゃんから聞いた)
その後、近所に住む在日50年、(私とは飲み友達)の
演奏、教育経験共に豊富なチェコ人チェリストの
アダミーラ先生にも
「平均律と純正律、てどういうことか知ってる?」
と聞き、、
その他、仲良くしているチェコ人音楽家にも
ちょろっと聞いてみても。
皆さんそろって、私と同じぐらいの
「なんとなくあいまい」な知識と認識しか
出てこなかったので
私が考える「純正律と平均律」について
安心して書かせていただきました。
記事でもっとハッキリ書けば良かったかな?
と思うのがすべての内容は
「調弦が完璧にきちんとあっていること
が大前提である」、ということです。
調弦を完璧に合わせるのだって
実はとても難しいことです。
ところで、残念ながら
掲載されている楽譜に2か所
ミスがありました。
こちらが修正したものです。
記事では、弦楽四重奏の難しさと
奥深さについても言及しましたが、
弦楽四重奏という分野はとにかく
名曲、大曲ぞろいな上、
人前でベストな演奏をしようとすれば、
とにかくじっくりと腰を据えて
時間をかけて取り組まないと
ならない分野です。
ちなみにチェコ共和国は、
日本でも人気のあった
「スメタナカルテット」を始めとする
ハイレベルの弦楽四重奏団を
たくさん輩出している国です。
ゴラ先生の「ヴァイオリンテクニックと心得」の中に
「1950年代に、弦楽四重奏の分野でも
暗譜で弾くことがはやった時代がある」
という一文があります。
ベートーヴェンのカルテットを暗譜なんて、
それもきちんとあるべき姿で演奏するなんて、
いったいどれだけの労力
かかるんだろうと思ってしまいますが・・
前出のアダミーラ先生(私とは飲み友達)から
面白い話が。
先生は共産時代にチェコやスロバキアで勉強し、
スメタナカルテットのメンバーとも親交が
あった訳ですが、、、
「共産時代は、彼らはとっても良かったんだよ。
練習することで国からお給料出てたんだよ。
それもかなり高給だった。
プラハの郊外に別荘借りて、
コンサートがあってもなくても、
そこで毎日、練習することが
仕事だったんだ」
おぉなるほど!
だったら暗譜でベートーヴェンも可能だわ。。
これは、ヨーロッパの社会主義国家政策が
いい方に出た一例で、そういう方法で文化を支援、
向上する考え方は
西側のシステムでは出来ないことでしたね。
個人の自由を尊重される資本主義国の豊かさの方が
もちろん良いのですが、
しっかりした経済的基盤がもたらす精神的余裕、
時間的余裕から
高い芸術文化が生まれやすくなることは念頭に
置いておきたいと思います。
それにしても、ウクライナ人も、ロシア人も
同僚がいたし、みなさん高度な音楽的
技術的レベルを持っていて、
あーあ。。