彼の部屋にあった小さなイヤリング
私はその持ち主の企みに気づいていたが
素知らぬフリをしていた
企んだ人物は必ず自ずと現れる・・・
私はそれを待ち構えていた
数日が過ぎた頃
約束して訪れたカッツの部屋には別に訪問者が居た
「こんばんは
カッツが夢中になってる女って誰なんだと思って待ってました」
「こんばんは
お久し振り?同じクラスだったよね?」
そこには顔見知りと思われる一人の男が居た
名前までは覚えてなかったが
1年も同じクラスに居れば
顔を覚えてない程年月は経ってなかった
というより・・・全然変わってなかった
「千夜さん変わったね~女の人は変わるっていうけどアルバムとは別人だね」
私はカッツと幼馴染であるという男と
とりとめのない話をしながら酒を飲む
彼が話す度カッツはヒヤヒヤした様子
自分が働かずにブラブラしていることを晒されたくなかったのだろう
酔いがすすむにつれ彼の口は滑らかになり
やがて彼の思考回路は溶けていった
「千夜さんこの男に騙されてない?コイツ千夜の思ってるような男じゃないかもよ?
浮気してるかもしれないし」
彼はニヤニヤ笑っている
カッツはヒヤヒヤ落ち着きが無い
私はこの口の軽い幼馴染と名乗る男を軽蔑していた
酔った席とはいえ初対面の気の知れぬ女に
気も知れた馴染みの友人についてアレコレ自慢気に話す男を上等とは思えない
でも私はこの男の存在等どうでもよかった
「浮気が私で本気が別に居るかもしれないでしょ?
カッツに失礼でしょ?」
私は薄く笑って彼の言葉を流した
カッツは千夜に本気ですとふざけ混じりにおどけて見せた
そのやりとりは彼の暴言に拍車をかけた
「こいつがホンキになったトコなんて俺は見たことないんだよ
いつもアソブ女なんてそこいら中に居たんだから
つい最近だって・・・」
カッツは彼を制する
私は続きを聞きたいワケでもなく
カッツから真実を聞きたいわけでもなかった
事実は私が知っていた
「それで
あなたの暴露は何かメリットでもある?」
彼はぎょっとしていた
そして続く言葉を必死に探していた
「私はピアスの穴があるから
そこのイヤリングは決してつけない」
カッツは青褪め私は微笑む
「私が好きか嫌いかは私が決めるし
カッツの女が誰なのか決めるのはカッツ」
彼ら二人の男の酔いは醒めた
私はそこから心地よく酔い始めた
『カッツが遊ぼうが本気であろうが
会うか会わないか決めているのは私である』
彼らは私の本意を初めて理解した
そしてそれは
カッツの心を非常に動かす出来事となったが
それが何故なのか
彼の感情をうまく表現することが
私は未だできない・・・
・・・そして間もなくイヤリングの女は姿を現した
・・・つづく









